それ、アウトです
「
同期の
「
「どっか希望ある~?」
「う~ん。予約なしで行けるとこで、そうだな~。イタリアン希望かな」
「おっけ~。探しておくね。LINEするから、チェックしてよ」
学生時代、学校の先生を目指して日々奮闘していた
まぁ~もともと…、人の名前と顔を関連付けて覚えることが極端に不得意だった
理系女子が少ない中、
しかも
毎日が楽しい筈なのに、
そう、それは…とっても癖のある先輩とペアリングされたこと。すごく仕事が出来る人なのだが、性格に難あり。彼の下で長続きした者はいないと言う、いわくつきの先輩なのだ。
「弟子1号。よく聞け!俺たちが新入社員の時はな~」
始まった…。朝から先輩が少し不機嫌だ。
先輩の名前は
もはやアンモナイト級、大昔の化石、天然記念物。
そんな雅人は会社の中でも一目置かれる変人で、火消しのプロ中のプロなのだ。システム屋なのだからトラブルは付きものなのだが、いろいろなプロジェクトでトラブルが起こっては、その火消しを担当する
難をいえば、口が悪く彼とうまく仕事をやり遂げられた人はいないという。根っからの一匹狼なのだ。
なんで
先輩が話し始めたら、まずは目を見て話を聞け。ですよね? 知ってます。だから
「一番下っ端は誰よりも早く出社して、先輩たちの机の上を拭くものだ。言われなくても俺たちはやってきたことなんだぞ」
え? 今この人何って言ったのかな?
しかも、ここに住んでる変人より先に出社するなんて不可能です!
でもどう返事をしていいか本当にわからない。誰か助けて~。周りを見渡しても助け船を出してくれる人は一人もいない。
「それにな、コーヒーが飲みたいと言わなくても、自分が買う時にはとりあえずお伺いをたてるものだ。コーヒー買いにいきますけど、何かいりますか? ってな」
う~ん。それってコーヒーが飲みたいってことなのか? …わからない。
確かに
「弟子1号、何とか言ったらどうだ?」
「あ、いえ。なんとお答えしていいか分からず。すみません」
とりあえず謝ってみる。こんなこと言ってるから誰も近寄らないんじゃないか? と
―― こんな人が白馬の王子様なんてことは絶対に無いっ! ロバに乗った意地悪魔法使い。ボロボロの服を着て、いや服なんて良いモノも着ていない、布を巻いてるだけの意地悪爺さんだぁぁ!!! 完全にパワハラだっ!
雅人の机の上はめちゃくちゃ汚い。お菓子の食べかけもあるし、これは捨てていいのか? って悩むし、参考資料とか紙で印刷した資料とかも山積みになってる。ペーパレスって言葉を知らないんじゃないかな?
ま〜。お菓子のお裾分けをしてくれるのだから、たまにはいい人なのかもしれないけど…。なんて
「弟子1号、コーヒー買いにいくぞ。ついてこい」
「あ、えっ? はいっ」
仕事も何から手をつけていいか分からない新入社員は、先輩に従うのが正解だと思った
「好きなもの選べよ。おごってやる」
「えっ? 良いのですか!? う~ん」
まいった。雅人は本日のコーヒーを頼んでいて、私はブラックよりカフェラテが飲みたい。おごってくれる先輩のコーヒーより値段の高い物を選んでいいのだろうか…、と真剣に悩む。
これは
「ごちそうさまです!」
雅人はなんだか嬉しそうにしているから、この選択は正解だったんだと思う。よかったよかった。気を使いすぎて、朝からどっと疲れる
―― はぁ…。新しい出会いってなんだろう。私の王子様、どこにいるの? ホント、早く迎えに来てぇ~。
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