第5話 人格否定は心を壊す
美佳に全てを否定された。
俺が美佳を愛している事、今までの思い出、結婚しているという事実。
二人の笑顔が映った写真。生涯に一度と誓い、結婚式場で撮ったガラスの写真立てに入ってた写真。
思い出が詰まった宝物が全て目の前で破られた。
しかし、本格的に離婚に至ることは無かった。俺が奴隷の様に美佳に仕え、壊れていく様を見ているのが楽しいのだろうか……。
理由は……わからない。
俺は愛してると言い、美佳を愛し続けた。たとえどんなに辛い暴言を吐かれようとも。
一応安静に、手と腕は極力動かさないようにしていたが、腕の使えない俺は料理も作れず、お風呂にも入れず、一人で何もできない状態になっていた。当然こんな状態で会社に行けるわけもなかったので休み続けた。
会社に行けない日が続いたある日、インターフォンが家内に響いた。
美佳が旅行から帰って来てからは初めての出来事だった。
「お前、玄関行って来いよ。キモいから消えて」
来客は俺が対応するのが当たり前かのように俺の背中を蹴りながら睨み顔で美佳は命令して来た。
誰の来客かも分からずに玄関に向かわされる俺……。
幸い、我が家のドアはドアノブを上げ下げすることで開閉を切り替えられるものなので、俺はまだ丈夫な足を振り上げてドアノブを下げる。
「あ、先輩――って、どうしたんですか?!」
ドアを開けた先には俺の二年後に会社に入って来たし塩顔高身長イケメンの後輩、
「まぁ、色々あって。それより何か用か?」
「何か用か……ってそれどころじゃないでしょ。元々先輩が連絡もなしに会社を連続で休み始めたじゃないですか。
部署内でいじめがあるんじゃないかって話があがって、それで、一度先輩の家にお邪魔したことがある僕が来たんです」
「あぁ、俺が妻を愛してないばかりに……な。だから、今は愛を伝えなきゃいけないんだよ。じゃないと、じゃないと……」
俺は美佳以外の人間に久しぶりに会ったからなのか、この生活が辛かったのか、理由は分からなかったが久々に涙を流した。
「先輩。僕、そんな虚ろな目で涙を流す人なんて見たことがありません。病院に行きましょう! しっかり診断してもらうんです」
◇◇◇
俺は脅迫、鬱、睡眠不足とストレスによる統合失調症その他諸々。幻覚が見えているのではないかとも言われたがそんな事は無いときっぱり答えた。
「入院が必要です」
妻と離れ離れになりたく無い俺は必死に嫌だと抗議したが敢えなくして精神科に入院する事となった。
入院が開始してから俺は美佳に会えないのでブレブレの自撮りと一緒に愛してると送り続けた。
◇◇◇
ピンポーン
インターホンの音が家の中に鳴り響く。
「チッ。あいつ入院した癖にもう帰って来たのかよ」
家の中には美佳一人だけしか居ないので美佳が仕方なく出る事に……。
大史が帰って来たのかと思いながら玄関の扉を開く。
「あっ! 美佳ちゃん。元気してた? あれ? 健康的な顔つきじゃなくなったね。大史さんにご飯作ってもらってないのかな? フフッ嫌いな人が作ったご飯なんて食べないか」
————————————————
すみません。
最近パソコンがバグってしまっててんやわんやしています。
もしかすると、このアカウントで投稿するのは辞めるようになるかも……?(登録しているメルアドとかが、ちょっとこんがらがって……)
万が一辞めるとしても違うアカウントで続けようとは思っていますが。
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