第4話

 よかった。

 これで、バンビーナだっけ?を助けられるね。


「おい、こら!


いい度胸じゃねえか」


「すいません、すいません」


 と、ひたすら謝る王様に、僕は説得をした。


「王様、バンビーナを助けたくないんですか?


父親なら、自分の力で助けた方が、かっこいいと思います」


「すまない。


実は、娘が行方不明というのは、ただのでっち上げなんだ。


だから、この通りに許してくれ」


「許すって、何を?


ああ、わかった。


娘さんと喧嘩したんですね。


それなら、早く謝りに行きましょう」



「もう、終わりでござる・・・・」


「終わりって、何が?」


「とにかく、終わりでござるよ。


君は、目的と違う方向に動いたのでござる・・・。


よって、君はこの世界にいられないのでござるよ」


「待ってよ、リーベ。


王女様を助けなくちゃいけないの」


「だから、これはでっち上げだ、と。


でっち上げって言わないで、嘘はついていないんだから」


「言葉の意味、理解してる?


これ、嘘って意味でござる」


「そんなあ。


王様、嘘なんてついていないですよね?」


「すまぬ。


嘘じゃ。


だから、元いた世界に帰っておくれ」


「やだよお。


せっかく、友達ができたのに」



「このド天然め。


地獄に引きずりこもうとしていることが、わからないわけ?」


「地獄なんて、この世界のどこにあるの?」


「いい加減、理解するのでござる。


君を騙そうとしたのでござるよ」


「騙そうなんてそんな・・・」


「やっぱりな」


 どこからか声がしたと思ったら、しゅい君が現れた。


「生きていたのでござるか?」


「生きているも、どうもこうも、無事だ。


怪しいと思って、俺の性格に似たアバターを、こちらの世界に送り込んだ。


まさか、それに引っかかるとは思わなかったな」


「騙していたでござるか?」


「それは、どっちだ?


ライハイツを、この世界に送りこんだことが、誤算だったな」


 この後、リーベと王様が、っどうなったのかは知らない。

 聞かされても、あまり理解できなかったな。


 この世界にいることは、すごく楽しくて、どれもいい思い出だった。

 

 結局、バンビーナは、隣のお城で、婚約者と仲良く暮らしていたみたい。

 何もなくて、よかったね。


 そころで、でっち上げって、どういう意味なんだろう?


 左目に力を宿せたら、めちゃくちゃかっこいいだろうな。

 

 リーベと、王様は、どういうわけだが、人間世界の刑務所で、僕を見て怯えているような感じがするのは、気のせいかな?


 この後、ニーノという人が「よくもやってくれましたわね」と剣を向けてきたけど、俺は素手で剣を折ったら、逃げ出してしまった。

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異世界勇者~左目に隠された不思議な力は~ 野うさぎ @kadoyomihon

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