第2話

「そういうことなら、通れ。

ちなみに、どうなっても知らんぞ」


 通っていいの?

 やったあ。


 俺とニーノは、研究所の中に入っていった。


 研究所が広く、どこに何があるのかもわからないし、どこをどう探せばいいのかもわからない。

 だから、手当たり次第、探す形となる。


 ここは、勘と運に任せよう。


「白衣を着ていないから、侵入者だ、多分」


 白衣を着た人が目の前にいたけど、多分って、確証もなく疑うなって。


「侵入者ですわ」


「では、このチビだけ捕縛しよう」


 白衣を着た男の人が、ニーノに手を伸ばそうとしたけど、ニーノがその手を弾いた。


「触らないでくださいますの?」


「侵入者を見逃せるほど、甘くないんだぞ」


「こんなか弱い、小さな乙女に、触るなんて、非常識にもほどがありますわ」


「ならば、今すぐ所長に会わせなくてはな」

 

「所長に会えば、何かご褒美がもらえますの?」


 ご褒美がもらえるの?

 すごーい!


「つまり、従う必要すらもないということ・・・・ですわね?」



 ニーノが剣を抜き、一撃で白衣を着た男性を倒した。


 笑顔のまま、スキップするニーノの後を僕は追った。


 目的と場所にはたどり着けずにいたけど、ここで研究所にヒビが入った。


「一体、何が起こった!?」


「魔力の波動を感じる場所に、行きますわ」


 走るニーノの後を追って、そこでたどり着いたのは、研究員を倒し、ワンエイスたちを助け出している、左目を髪で隠し、背中までの長い髪を持つ薄い紫髪の、たった一人の小さな尖った耳を持つエルフだった。


「リコルド・・・」


 僕は、その子の名前を呼んだ。



「リコルド様・・・、どうしてここにいらっしゃいますの?」

 ニーノが、驚きを隠せないでいた。


「そんなことは、決まっているのです」


 リコルドは、一人称は「あたし」のなのです口調。

 長い剣を腰にしまいながら、話す。



「あたしも、ワンエイスの研究所を壊し、ワンエイスたちを助けるようにと、言われたからなのです。

アイリス様や、毒蛇様も、あたしが助けて救出したのですよ」


 すごい・・・・。

 


「あたち達が、迷子になっている間に、研究所の中から、囚われている人たちを見つけ出すなんて・・・・」


「あたしは、無謀なことはしないのですよ。

地図とかも、持ってきているのです」


 こうして、リコルドがどこからか、地図を出して、俺たちに見せた。


「研究所に来る前から、入手していたのです」


「そんな発想があったのですの?

悔しいけれど、あたちの負けですわ」


「やっと、負けを認めてくれたのですね?


ということは、明日からはこのあたしが、ライハイツ様のパートナーとなるのです。


これで勝敗も決まりましたし、文句は一切と言わせないのです」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る