第4話 普通って何

「見苦しいのを見せてしまったな」


「大丈夫だよ。ただ.....右京ちゃんに平手打ちはやり過ぎじゃないかなって思ったけど.....」


「正直、ここまでしないと話が通じない、という事だ」


「うーん.....」


何か逆の様な感じでイメージを捉えている感じの悩む山中。

俺はそんな姿を見ながらコーヒーを一口飲んでから山中を見る。

やり過ぎじゃない。

寧ろ必要だよこれは、と言いながら。


「話が通じないから」


「うん。分かる。気持ちは本当に分かる。だけどね.....」


飯山くん。やっぱり駄目だよ。こういうの、と真剣な顔でアイスティーを見てから向いてくる。

俺は?を浮かべた。

それから山中を見つめる。

山中は飴と鞭にしてもやり過ぎかも、と言いながら俺を潤んだ目で見てくる。


山中.....、と思いながら山中を見る。

それから、必ず別の接し方があると思う。私も協力するから、と笑顔になった。

俺はその姿に苦笑をする。

それから、変わらずだな、と言う。


「私は平和的に解決したいから」


「平和的、か。確かにそうかもな。有難う。そう言ってくれて」


「だから取り敢えず右京ちゃん、左京ちゃんと話してみてほしいかも。それがきっと全ての第一歩だよ」


「そうだな。嫌気が差すがまあ歩み寄らないと話は進まないかもな」


「そうだよ。だからこそ頑張ろう」


そんな話をしながら笑みを浮かべる俺。

俺は山中に励みを受けつつそのまま右京、左京と話をする事にした。


正直、話が通じない相手に全く話をする気にはならないが話をする必要性があるだろう。

そう考えながらコーヒーを飲みながら考えた。

すると山中が笑みを浮かべてくる。


「右京ちゃんも左京ちゃんもきっとまだ大丈夫だから。お話聞いてくれる筈」


「そうだな.....分かった。有難う」


そんな返事をしながら。

俺は山中を見る。

山中は、後悔先に立たず、だね、と柔和になる。

それに対して、そうだな。取り敢えずはお前の言う通り話すよ、と応える。


「取り敢えずは今から帰る」


「うん。気を付けてね」


それから俺はお金を置いてから。

そのまま頭を下げて山中と別れようとした時。

山中が、待って、と声を発した。

そして俺を見てくる。


「君はよく頑張ってる。私、君が好きだな。そういう姿」


「そうか。有難う。お前だけだよ。そう言ってくれんの」


そう答えながら俺は山中に挨拶をしてから今度こそ別れてから。

そのまま帰宅する。

すると、お兄ちゃん、と声がした。

固いまま顔を上げるとそこに右京が居た。

俺をビクビクしながら見ている。


「何だ」


「その。私が悪かったのかな。ごめんなさい。嫌わないでほしい」


「お前な.....」


唖然としながら俺は右京を見る。

右京はマジに分からない、的な顔をしている。

俺はその姿に盛大に溜息を吐きながら答えてみる。

お前が左京が独占したい気持ちは分かる。だけど俺は誰のものでもない。お前らが独占しようとしているのは無駄な事なんだ、と説得する。


「私達がおかしいの?」


「そうだな。お前らがおかしい。だけど俺はお前らとは縁が切れない。お前らは俺の姉妹だから」


「そうだね」


「だから俺はお前らを取り返す」


「取り返すって何?」


「普通のお前らを取り返すって意味だよ」


普通の私?、と疑問符を投げてくる。

俺は、ああ、と言いながら靴を脱いでから右京を見る。

右京。俺はお前に左京に普通になってほしい、と強く見る。

その言葉に右京は!と浮かべた。


「普通にしたら恋人になってくれる?お兄ちゃん」


「恋人!?」


「私はお兄ちゃんが好きだから。だからこそお兄ちゃんには恋人扱いしてほしい」


「いやお前。無理って言っているだろ」


「じゃあ私は無理。普通になれない」


「無茶苦茶な」


私はお兄ちゃんに対して恥じらいも何も無い。

だからこそお兄ちゃん。

普通がわからないから、と右京は真剣な顔をする。

それから俺をジッと見てくる。

俺はタジタジしたが。


「分かった。じゃあ俺は考える。恋人として普通に見れる様に」


「うん。それでOK。私は頑張って普通を目指す」


「お前な.....」


「何が文句でも?」


「無いけど」


じゃあ契約しないとね、と言う右京は言う。

契約ってなんだ、と思いながら右京を見ていると右京が俺の唇に唇を合わせてきた!?


それからそのまま俺を押し倒す。

口に舌を入れてくる。

所謂、濃密なキスだが!


「お!お前!」


「これぐらいは良いよね」


プハッと離れてから。

でも凄い。

めっちゃくちゃ興奮した、と話す。


それからビクビクと体を揺らす右京。

頭おかしいとちゃうかこのアホ。

俺は思いながら上半身を起こした。


「でもこれで契約完了」


「あのな。もうせんぞ。お前」


「何度でもこれするよ。私に普通になってほしいんでしょ」


なんか地獄が待っている気がした。

危ないんだが。

これはヤバい、止めさせないと。

思いながら俺は赤面で目の前の右京を見る。

先は長いな.....!?

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