第19話 エピローグ

◇◇◇エピローグ◇◇◇



 ある公立高校の一年生の教室は、いつもの朝を迎えていた。

 春休み間近である。始業前の生徒たちはスマホを見たり、友だち同士でおしゃべりしたりしている。


「今日、転校生来るんだって! 知ってた? 女子だよ女子!」


「へえ、珍しいな、こんな学期末。何か理由わけあり?」


「さあ。親の都合とかなんとかじゃん。っていうか冷めてない? 神野じんの


「別に。興味ないし……あ、俺日直だ」


 担任が、一人の女生徒を連れて教室に入ってきた。


 神野と呼ばれた男子生徒が号令をかける。


「起立!」


 着席すると、担任が女生徒を紹介した。


「今日からこのクラスの一員となる、藍川あいかわさんです」


 やはり、親の都合で転校してきたらしい。


 長い黒髪の女子生徒は、笑顔で挨拶する。

 クラスはざわめく。


「か、可愛い!」

「ビジン!」



藍川聖良あいかわせいらです。よろしくお願いします」


 その瞬間、神野は転校生と目があった。

 神野佑司じんのゆうじは疼いた胸に自分で驚く。

 藍川聖良も神野を見て、瞳が大きくなった。


 

 窓の外、桜の花が、そろそろほころび始めていた。




 了

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