2.婚約者②

レイシアは執事に案内され謁見室に来た。

謁見室のソファに座っていたのは漆黒色の長い髪を一つに結い伸ばして整った顔立ちをしメガネの中から切れ長の瞳を覗かせた美少年だった。


(顔だけは100点満点ね、では皇太子討伐作戦の第一の味方として取り入れましょう。まずはプランAから実行しようかしら?だってこの作戦は使用人すらバレちゃいけないんだもの。)


レイシアは笑顔を作り少年に優雅に淑女の礼をしてと向かい合わせに座った。


「初めまして、私はレイシア・ド・クラウスと申します。婚約者としてよろしくね。」


「なんだ、金髪頭?」


レイシアの挨拶にミハイルは気にせず手に持っていた本から目を離さなかった。


(失礼ね、私よりも2歳も上なのに挨拶すらできないのかしら?そっちがこう来るならこっちも行かせてもらうわ)


レイシアはクスリと笑った


「あら?反抗期の子って大変ね、腐れ眼鏡。」


レイシアの言葉にミハイルはピクリと動いた。


「そうだわ、腐れ眼鏡。これを見て頂戴。」


レイシアはソファの後ろにある本棚から二冊の本を取り出した。

その本のタイトルは『王族』と『裏切り』。

レイシアはミハイルに見せた。


「これに協力してくれるかしら?」


「なぜだ?」


レイシアは不敵に笑って言った。


「今の皇太子、質がないでしょう?家庭教師を嫌ってただ遊ぶだけ、だから学力もないしそれ言え運動神経も無い。でも傲慢で金を使いまくっている。『コレ』が皇位についたらこの国『ジ・エンド』よ。」


レイシアの言葉はすべて真実だった。

レイシアの言葉にミハイルは考え込んだ。


「婚約解消してくれるならいいぞ。」


「時期にね。今の私だと無力だから。」


「分かった、この計画に載る。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る