推定無罪。


 家に遊びに来た幼馴染と、つけっ放しにしていたテレビをぼんやりザッピングして眺めていたとき。


 ニュースをやっていた。


 なんでも、昔の殺人事件の犯人が、無罪を主張して裁判のやり直しを請求しているという。


 不当逮捕、自白の強要だとか、そんな内容。冤罪で刑務所に入っていたのだという。


「裁判、やればいいのに」


 幼馴染がぽつんと言った。


「なんで?」

「ん? 多分、殺された人が、謝り続けてた」

「え?」

「本当に誤認なんだろ。可哀想にな」


 俺の幼馴染は、視える人だ。

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