第6話 高卒認定

自宅から遠く離れた大学が高卒認定試験会場であった。

時間に間に合うように少し早めに自宅を次男と一緒に出発。

まだ15歳。息子の見えている世界は私が見ている世界とは違い小さな世界なのだ。高校にも通っていない、友達もいない、そんな次男には家族しか心を許す相手がいない。だから母を嫌がる年代であるにもかかわらず二人でくだらないことを話しながら受験会場に向かった。長男とは感じたことがない親子の近い距離。


高卒認定は年に受験する機会が2回もあるので気楽な気分で受験会場に向かった。

受験会場に到着。『な・なんかものすごい人だね。コンサート会場に入る感じだね』と息子に話した記憶がある。私の中では高卒認定を受験する生徒なんてほとんどいないと思っていたのであまりの人の多さにびっくりしてしまった。


息子が受験する部屋番号を探すのも一苦労。一人で行かさなくてよかったと思った。

仕事を休んで息子のために時間を割くのはうれしいことだ。どこにも旅行に行くことがなかったので息子と二人で小旅行のようで私は楽しかった。


受験生は年配の方・20代くらいの若い方や外国人(アジア系)の方が多く息子と同じような高校生はいなかった。私は夕方まで大学の敷地ないのベンチで本を読みながら夕方まで待っていた。ボーっとする時間ができるとふと思おう事がある、それは別れた夫のことである。夫は子育ての苦労や子供たちの悩みや苦しみを知らずこの同じ空の下で、のほほんと生活しているんだろうなぁ~あー悔しいと。


夕方、試験がすべて終わり息子が待ち合わせの場所にきた。

『どうだった?できた?」と聞くと『マークシートだからできたんじゃない』と返答

お疲れ様。たわいもない話をしながら帰路に就いた。

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