第5話 過去の話

小学4年生になると、3年間ずっと一緒のクラスだった坂本とクラスが離れてしまった。

その影響もあって、私はどんどん公園に行かなくなってしまった。

でも坂本の親友…宮澤は4年生でも同じクラスだった。

彼は3年生の時から何かと気が合い、仲が良かった。

好きなもの、好きな動物、好きな食べ物、推し…偶然とは思えないほど好みがあった。

最初は本当に偶然だった。

だから、私の心は彼にひかれていた。

するとここで、「菊池颯真」が出てくる。

坂本と宮澤は野球をやっていて、そこで2人は仲良くなったのだが、その野球に、菊池も入っていた。

なので宮澤と坂本と菊池、3人で親友グループ、とまわりに言われていた。

菊池は当時性格が悪く、私が宮澤を好きだと聞くと、その話を噂としてまわりに伝えた。

そして本人の宮澤にも伝えた。

そして言ったのだ。

「伝えたよー」

と。

私は菊池の腹に蹴りを入れたが、それくらいじゃ忘れてやらないぞ、菊池よ…。

その次の日、私が宮澤とすれ違った時…。

宮澤は笑顔で「ぴーす」とvサインを作った。

いつもはそんなことやらないのだ。

その時の「ぴーす」は気まずくてやったものかもしれない。

だけど私はとても嬉しかった。

その日から、宮澤は何かあるごとに「ぴーす」とvサインを作るようになり、

事情を知らないみんなからは「ぴーすマン」と呼ばれていた。

みんなが知らない裏側を知っているのが嬉しかった。

そこから、私は宮澤の沼にはまっていった。

時がたち、小学4年生のバレンタインの日。

私は彼に本命チョコを渡すことは出来なかった。

関係が壊れるのが怖かった。

だけど同じクラスの女の子が、彼に本命チョコをあげた。手紙付きの。

私はドキドキした。彼とその子が結ばれてしまうんじゃないかと。

でも彼とその子はその後、何の進歩もなかった。

私はほっとした。最低だった。自分は本命チョコをあげることもできないのに。

ごめんね。


続く


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ほのぼの・ノンフィクション学校物語!! @ichigomirukukizitora

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