次の日の朝、両親の顔を見るとかなり顔つやが良くなっていた。

「肉に含まれる、色々な成分が体の体調を戻してくれたよ」

 痩せてはいるが目に輝きが戻ってきたようで嬉しかった。

「しばらくはあの肉で持つかな」

「ああ一週間は、あるいはそれ以上持つな。燻製にすれば」

 この場所は川に近い、そして地面から濾過された水がわいているので水の心配はない。しかし心配なのは密漁者である。いつこの場所に来るかは分からないのだ。場所は知られているのだから。

「ここから移動しよう」

「そうね」

 俺の言葉に母はうなずいた。言葉からはまだもう少しこの場所にいたいという未練が感じられた。まあ、水が確保できているのでそれは理解できるが。

「あの子どうしているのかしら」

 唐突に母親が言った。

「誰」

「私たちが面倒をみていたパポちゃん。彼の両親は無くなってまだ若い私たちが両親代わりに彼女を育てていたの」

「その子はまだ……」

「ええ、密漁村にいるわ」

「助けないと」

「無理よ。あそこには銃や武器がたくさんあって武装している」

 確かに今の現状では無理だろうしかし、レベルを上げれば。

 そう思ったときにふと昨日しかを仕留めたときにレベルアップしたのを思い出した。真っ先に確認すべきことなのに。自分の力に直結しているから。でも食料を両親に届けたい一心の方が勝っていたんだった。まあそっちの方がだいじだったけど。

 ステータスと頭の中でつぶやくと脳内にそれが表示された。

「水魔法ウォータードリンクというのが表示されていた」

 ウォーターでいいじゃん。でもドリンクってことは飲み水ってことだよな。

 試してみる事にした。

「ウォータードリンク」

 発すると、手のひらからじわじわと水が出てきた。

 ぱっと見、汗がじわじわ出てきているようで気持ちが悪いが、それはみためだけで、実際は綺麗な水なのでこれは最高の魔法だった。なぜならば飲み水を確保することに成功したからだ。これでこころおきなくこの場を去る事が出来るからだ。

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