「それはそうと、私たちはもう残された時間があまりないかもしれない」

「どういう事?」

「それはあなたも含まれているのだけど。私たちはね。つい先日追っ手に見つかったのよ。密漁者村の追っ手にね。今頃は戻って私たちの居場所を伝えているところだわ。でも私達にはもうあまり逃げ回る力が残っていないの。御覧の通りのありさまなのよ」

 そういいながら母親と父親はやせ細った腕を俺の前に差し出した。なるほど、食べていないから力が出ないのか。俺はとても悔しくなった。ただ悔しいんじゃない。とても悔しいんだ。

 俺は決意を固めた。断固とした決意である。

「俺に考えがある。聞いてくれ」

 その力強い声に母親と父親は目を大きく見開いた。

「どうしたの。なんなの考えって」

 俺は自分の考えを紡ぎだした。

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