「おぎゃー」

 俺は赤ちゃんらしく泣いた。しかしそれは意識的にというよりは本能的にだった。

「あらあらこの子、泣き虫ね」

 赤ちゃんが泣くのは当然だろう。って言葉が理解できる?

 これも能力のおかげだろうか。記憶維持のいや、それはまた別のはずだ。つまりは俺は天才児?

『違います。あなたに間違って言語理解能力を与えてしまった私のミスです。うっかりね』

 あの天使の声だった。聞き間違えようがない。しかし今回は脳内にその声が響き渡っている。

「なるほど、うっかりミスか。ほんとうにうっかりミスなのですよね」

「ええ、言語理解能力を与えたらちょっとおもしろそうとかは思っていない」

「それが本音かっ!」

 と脳内で突っ込んで、俺はアフリカの母の元これから成長していくのであろう。アフリカの母の元って、新宿の母のような占い師の響きみたいだなとか考えながら赤ちゃんの仕事である寝るを遂行するのであった。寝る子は育つっ。

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