第10話



「777円だ」


女の後頭部を殴る。カゴを奪う。

初めから思っていた。このやり方で、勝利を勝ち取ると。


さあ、これで、解放だろう。正当防衛で許される。

殺さないと殺される状況なんだから。




と「ある男」が思った瞬間、777円の買い物をしたものが集められた。


「おめでとう。777円の買い物ができるクレバーな君たち。優秀な遺伝子をもつ選ばれた君たち。congratulation!!!!さあ、待ちに待った時間だ。解放!?いやいや。

お前たちは殺されないと思っていたのだろうが、違う。お前らが殺されるんだ。みんなの前で。優秀な君たちに相応しい死に方があるのだ。みんなさあ、こっちへ来い!!」


勝利者たちが、駐車場に解き放される。

佐々木が待ち構えて車を走らせる。

もう殺人者ではなく殺人車だった。


佐々木は大声で言った


「俺はこれがやりたかったんだ」


罪のない人がどんどん轢き殺されていく。

窓を開けて、発泡しながら。


僕はどんどん青ざめていく。


これは俺がしたかったことなのか。

佐々木のアドレナリンとは別に俺は青ざめていく。


あいつは元々狂気を持った性格だった。


だから俺たちは離れたのに。



これをやりたいがためにあいつは俺を巻き込んだんだ。


2歳ぐらいの子が僕の前に現れた。

「ママ!!!」

母親が泣き叫ぶ。


途端に脳裏にミキの母子手帳の映像が浮かんだ。


子どもは巻き込まないことが条件だったのに。


佐々木の瞳孔は開きっぱなしだ。

危ない。俺はその子におおいかぶさる。


俺の人生は終わる音がした。








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