第5話
もう、どうでもいい。この世の中を良くしようとなんて思わない。
ミキの死から少し時間がたったことをいいことに、最近色々なことを言われる。
両親からは葬儀を仕切ったのだから、賠償金の一部をくれと言われ、
義父からは、お前と結婚したからこんなことになったと言われた。
挙げ句の果てに会社では、「お腹の中にいた子どもは、ミキの浮気相手の子ではないか」という説まで出てきた。
客観的に考えても人より仕事ができる僕をとことん落としたいという人間がそこまでしてライバルに勝ちたいのかという落胆。
信じたい気持ちより、裏切られたと思う瞬間が増えていく。
「同僚の青木と浮気してた」と言う具体的な噂が複数人から聞こえてきたことで僕は狂人寸前だった。
少しでも何かできることを。
そう思って行動したのに、それすら無意味。
生きていても、無意味。
死ぬことよりも憎しみが増えていった。
もう何も誰も信じられない。
話があるって、離婚のことだったのかな。
ミキを信じたくてももう、信じられなくなった。
僕は空な目でまたあのスーパの惣菜コーナーの前にいた。
ここで何かやらかしたかった。衝動的に惣菜を全部ぶちまけて奇声をあげる寸前だった。
「ポテサラぐらい作れるだろう?チャカ作れるくらいなんだから」
懐かしい声がする。
見上げた先に、懐かしい顔があった。
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