第3話
僕の両親が、使い物にならない僕の代わりに葬儀の準備を始めた。
逃げた車はすぐに見つかる。そりゃそうだろう。現代では、ひき逃げは死亡事故では100%犯人逮捕されているからだ。
相手からの謝罪の言葉で僕は狂った。
「妻と子どもがいるので、迷惑をかけられないと思って逃げた」
子ども?子ども?
「他人の子どもは死んでいいってことか?」
両親に取り押さえられなかったら僕はそいつを殺していた。
いや、その時に殺していればよかったのかもしれない。そいつだけで済んだのなら。
僕がもっと凶悪な犯罪者になるまでには、まだすこし物語があるので聞いてほしい。
ミキのいない時間。
少しずつ、経過していく時間。
思い出や持ち物が見え、いちいち涙が出てきてた時期を経て、数ヶ月すぎた。
だが見たくもないスーパーが勤務先から近いこともあり、視界に入るたび、胸が苦しくなる。
徐々にクリアになっていく頭で、考える。
あの駐車場は、前から危険だと思っていたのだ。
正面玄関裏から駐車場に続く通路は、その横からも出口に向かって車が通る。
スーパーの横に建てられたラーメン屋のプレハブのせいで、凸凹になっており、視界が遮られ、歩行者、車ともに、ヒヤッとする場面が多い。
「一時停止の看板をもっと大きくするべきだ」
僕は、どうしても、どうしても、スーパー経営者たちにひとこと言いたかった。
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