第4話 計画の相談


 アリシアは、不安そうな表情をしながらこちらを見ていた。


「えっと、ごめん」

「わかってるよ。私よりクレア様の方が大切なことは」

「それは違う!!」

「じゃあ私の方が大切ってこと?」

「う、うん」


 はっきり言って、どちらが大切かとか区別をつけることができない。だって、俺にとってはアリシアもクレアもゲームの世界の住人であり、俯瞰的に見てしまうのだから。


「じゃあなんで私よりクレア様を優先したの?」

「......。言い訳に聞こえちゃうかもしれないけど、アリシアの出会いの場として俺が邪魔だと思ったんだ」


 俺の言葉にアリシアは首を傾げた。


「アリシアには幸せになってほしい。だから、今のうちに良い男性と巡り合えたらと思ったんだ」

「......。そんなことしなくていい」

「え?」

「だから!! そんなことしなくていいって言ったの!!」


 大きな声を上げてきたアリシアに対して、ビクッとしてしまった。


「私は今の状況で満足しているし、自分で結婚する男性は決めるから!!」

「わ、分かった。でも相談はしてくれよ」

「うん」


 その後、二人に沈黙の時間が訪れていると、すぐにパーティが終わった。


 俺とアリシアが屋敷に帰ろうとしているとき、後ろから話しかけられる。


「ねえ君」

「はい?」


 俺が後ろを振り向くと、そこにはクレアが立っていた。


「名前を教えてもらえない?」

「ダイラル・ロートです」

「ダイラルね。今日はありがとね」

「いえ。こちらこそ踊っていただいてありがとうございました。それよりも、あの方とは踊れましたか?」


 クレアはクスっと笑いながら、言った。


「それはお互い様でしょ。それにあの人とも踊れたわ。でも楽しかったのはダイラルかな?」

「......」

「じゃあこれからも会う機会があると思うけど、よろしくね」

「はい」


 俺はクレア様が馬車に乗るのを見送って、アリシアと一緒に屋敷に帰った。


 ベットの上で、今日のことを思い出す。


「あ!!」


 あの言葉、俺は致命的なことを忘れていた。


 クレアがルーカスに惚れ始める最初の理由は、ルーカスがなんでもできるところであった。


 それなのに、俺と踊る方が楽しいと言われてしまった。それは、少しまずい。間接的にだが、俺がルーカスの良いところをつぶしてしまった。


「明日、アリシアに相談しよう」


 翌朝。俺はすぐさま図書室へ向かおうとした時、父親から告げられる。


 それは、昨日のパーティには、押しのびで第三王子のルーカスがいたこと。


 そのため、俺はすでにアリシアは本を読んでいた。


「アリシア、相談があるんだ!!」

「ん? なに?」

「昨日ルーカス様がパーティにいたのは知っていた?」


 俺の言葉にアリシアは驚いた表情を見せた。


「俺もついさっき言われたんだけどね」

「そ、そうだったんだ」

「それでね。もしよかったら手助けをしてほしい」

「何かな?」


 キョトンとした表情で俺のことを見てきたアリシア。


(可愛い......)


「お互い国の情報を集めてきて思ったことはないか? 公爵家と王家の関係が悪化してきているのを」

「う、うん」


 実際、ゲームのシナリオでも王家と公爵家の関係を密接にするため、クレアとルーカスは婚約者になっている。


「だから、俺と一緒にクレア様とルーカス様を婚約者にするように導かないか?」

「え!?」


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