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⌘
覚悟を決めたぼくは、レヴィから一旦間合いを取るべく、猛スピードで泳いでいるルキンに尋ねた。
〈ルキン、昨日みかんが言った作戦、聞いてた?〉
〈ああ、聞いていた〉
〈決行するよ。いい?〉
〈マスターのコマンドならば、いかなるものど〉
〈ありがとう〉
ぼくはルキンに、具体的なコマンドは、そのときそのときで分けてするから、その通りにしてとお願いした。
先にいっぺんにコマンドしてしまうと、作戦の詳細を、レヴィに聞かれてしまうからだ。
〈心得た〉とルキンが言った。
「お願い——準備はいい? みかん」隣りでぼくとおんなじうつ伏せの姿勢になっている、みかんにぼくは確認した。
「大丈夫だよ、もちろん」
「おばさんに、最後の電話とかメール、しないでもいい?」
「うん。しない。ミズトは?」
「ぼくもいい」
「でも、ひとつだけやっときたいことがあるかも」
「なに——」
——と。
みかんがぼくの頬っぺたに、キスをした。
「終わったよ、やりたいこと」
目の前で組んだ両腕に、赤くなった顔の下半分を
ぼくは一度、腕立て伏せをするようにして身を起こすと、みかんの曲げられている片腕に自分の片腕を通して、またうつ伏せになった。
「ミズト……?」
みかんがぼくを見た。
ぼくもみかんを見た。
「これでぼくたち、離れることはないよね」
「……うん」
ぼくは潤んだ瞳のみかんを、じっと見つめた。
「——みかん。救おう、世界を。火星と、地球のみんなを。ぼくたちで」
「うん!」
「ルキン、コマンド! まずは、急上昇だよ!」
「高さはどうする?」
「行けるとこまでだよ!」
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