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   ⌘


 ぼくを口に入れたルキンは、ほんの数秒でフットのシールドを突き抜けると、ぐんぐん大きさを増しながらレヴィに近づいていった。

 ちなみになんで乗るのが背中じゃなかったかと言うと、ルキンいわく、このスピードでは振り落とされてしまう可能性があるし、鳥や虫や浮遊物が当たったりしたら、危ないからだそうだ。

 ちなみのちなみに、ルキンの口の中は、思っていた以上に居心地がよかった。

 魚の臭いなんて全然しなかったし、湿っているようでいて、まったく湿っていない、上等なゴムの分厚いマットにうつ伏せになって、寝転んでいるような感触だった。

 実際今のぼくはそんな体勢で寝そべっていて、ルキンの牙越しに、コクピットからそうするように外を見ているのだ。

 もうひとつちなみに、ルキンの口の内側には、外からは見えない予備の歯が、ズラリと上下に二列ずつ並んでいて、こんな場合にもかかわらず、怖い気持ちとワクワクした気持ちとで、なんだか叫び出してしまいそうなぼくだった。

 ただそれはそれとして、気になっていたことをぼくは尋ねた。

〈ねえルキン、さっきの連結の話だけど、離れる以外に、切れたりすることはあるの?〉

〈原則的に、マスターからのコマンド以外では、ありえない話だ〉

〈原則的に?〉

〈唯一の例外として、クアット自らの意志で切れる場合は、マスターの身に、危険が——〉

 とそこでレヴィの姿が見えてきて、ルキンが話題を変えた。

〈いたぞ。攻撃準備に気を取られているようだ。このままスピードを上げて突撃すれば、一撃を喰らわせられるだろう。どうする?〉

〈だったら喰らわせるしかないね、とりあえず〉

〈母親の身体でもか?〉

 忘れていた大事な事実が、ズンッと肩にのしかかった。

〈……お母さんは、もう死んだんだ〉とぼくは言った。〈コマンドだよルキン。攻撃して……!〉

〈心得た〉

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