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見ると、すぐそばには、テニスラケットを両腕で抱きしめながら、怯えた顔で輝く空を見上げている、ひとりの女子が立っていた。
白いユニフォームを着て、白いヘアバンドを付けていたから一瞬誰だかわからなかったけれど、その黄色い髪の毛と瞳を見て、メイジちゃんだということがあっとわかった。
みかんが親友だと言っていた、あのメイジちゃんだ。
「みかんちゃん?!」
「メイジちゃん?!」
向かい合ったみかんとメイジちゃんが、驚いた顔で言い合った。
「え? 何これ、何が、起こったの……?」
みかんの肩から手を離し、二人の横顔を見ながらぼくは言ったものの、考える余裕がまったくなかった。
もうほんのすぐ上空に、燃え盛る衛星フォボスの流星が迫っていたからだ。
やばい、ぶつかる!
そう思いながら、ぼくはメイジちゃんを見ているみかんを見た。
みかんもわけがわからないという顔をしてぼくを見たけれど、迫り来る流星を振り返って一度見上げたあとで、ニコッと微笑むと、すぐにキッとした表情になってまた流星を見上げ、両腕をめいっぱいに突き上げながら、
「エキジット! フット、みんなを守って!」
と、空に向かって力強く、大声で叫んだ。
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