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 ぼくの願いが通じたのか、思いの外時間が経ったあとでお父さんがぼくらを呼びに来て、ぼくらは一階に戻った。

 戻ってみると、医療用の手袋をはめた叔父さんが、なぜかジップロックの小さめの袋を片手に膝をついて、ゴミ箱を漁っていた。

 かと思っていると、ふいに、よし、と言いながら立ち上がり、指先で挟んでいた何かを袋の中に入れ、その袋を白衣の内ポケットの中に、大事そうにしまった。

 袋に何を入れたのかまでは、叔父さんの身体が邪魔になって見えなかった。

 とそこでこっちを振り返った叔父さんが、手袋を外しながら言った。

「悪いがミズトくん、これから一緒に出かけようか」

「これから?」

「ああ。雄人さんと話したんだが、レヴィの身体の持ち主に、心当たりがあってね。それを確かめにいきたいんだ」

 ということはやっぱり、レヴィは誰かの身体を取ったというみかんの説が、当たっていたようだ。

「でも、なんでぼくが?」

「ボディーガードになってほしいんだよ。ルキンさん——いや、ルキンに」

「でも叔父さん、酔いは大丈夫なの?」

 出かけるとしたら、叔父さんがビートルを運転することになるだろうと思ったぼくはそう尋ねた。

「それがまったく大丈夫なんだ」と叔父さんは言った。「レヴィにもらった情報は、QUAに混ぜられていたということだから、それと関係しているのかもしれないね。今はいつも以上にスッキリしてるくらいだよ」

「それならいいけど……。お父さんは?」

「雄人さんは、みかんちゃんのお母さんのこともあるし、この家の地下室で待機しておいてもらうよ。もうすぐ軍も来るはずだからね」

「あの、わたしも行っていいですか?」

 と、そこで叔父さんに名乗り出たのは、みかんだった。

「……みかんちゃんもかい?」

 いぶかる叔父さんに対して、ぼくはみかんを援護するべく、レヴィことわふなちゃんとみかんの関係を、みかんと二人で、あらためて叔父さんに説明した。

「……そうか。レヴィに対する、みかんちゃんの気持ちはわかったよ」と叔父さんは言った。「しかし万が一また敵が来た場合、みかんちゃんのシールドがなければ……」

 とそのとき、ルキンがぼくに話しかけた。

〈だったら地下室の壁と床に、ルキンが多めにQUAを流すよ。そうすれば、さっきレベルの敵は当分入れないよ。それにレヴィの目的は、ミズトとみかんだから、離れ離れにならない方がいいヨ〉

 なるほど、さすがはルキンだ。

 ぼくはすぐに叔父さんに、そのことを伝えた。

「そうか」と叔父さんが応える。「それだったら安心だね。じゃあ一緒に行こう」

「どれくらいで戻って来れそうだ?」

 とお父さんが叔父さんに尋ね、いまいちよくわからない内容のことを叔父さんが答える。

「今の技術なら、三分もあれば充分ですので、ほぼ往復時間の、一時間程度かと」

「わかった。それでは、頼むよ」

「はい。——よし、じゃあ出発だ」

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