144-爪先編

幼「唇から爪の先まで愛してるよー!」

僕「恥ずかしくなるくらい真っ直ぐな告白だね」

幼「爪先……爪先ってエッチ」

僕「フェチ?」

幼「爪先立ち」

僕「ロマンティックなシチュエーションでのキスじゃん」


~ ~ ~


幼「身長差があるカップルでめっちゃ頑張って爪先立ちしながら唇突き出すシーンって萌え萌えじゃない?」

僕「グッと来るものがあることは認めるよ」

幼「私もああいうのやってみたいの!」

僕「今度やろっか」

幼「ほんと!? じゃあ頑張って背伸びしてね!」

僕「ああ僕が爪先立ちする側なんだ」


~ ~ ~


幼「爪先舐めて?」

僕「汚い」

幼「愛する女性の身体に向かって汚いとは何事!?」

僕「じゃあ素手で芋掘りした後の指先舐めてよ」

幼「手洗いは大事だよね!」

僕「恐ろしく速い変わり身だ」


~ ~ ~


幼「ぎゃあああああああ!」

僕「凄い勢いで足ぶつけてるね」

幼「爪が……爪が……」

僕「手入れサボって伸ばしっぱなしの時に爪先ぶつけるとすっごい痛いよね」

幼「こうなったら全部消してやるんだから!!」

僕「爪切る気になったのかな」

幼「壁!」

僕「住む家がなくなるからやめて」


~ ~ ~


僕「ん? この野菜滅茶苦茶固くなっちゃってるなあ」

幼「トゥ!」

僕「いきなり蹴るのやめなよ」

幼「だって完全に食べる旬が過ぎちゃってるんでしょ?」

僕「これがほんとのトウキック」


~ ~ ~


幼「爪先と言えばロマンチック!」

僕「ちょっと前にエッチと口走ってた人間が吐いたとは思えない台詞だ」

幼「想像してご覧?」

僕「ふむ」

幼「好きですって制服の上から背中に指文字で書かれる瞬間を」

僕「制服の上からじゃ厚すぎて何書かれたか認識できないんじゃないかな」

幼「冷静すぎて激怒だよ!!!」


~ ~ ~


幼「第一回爪先!!」

僕「お題が雑」

幼「ほら、爪先だよ!!」

僕「何でもいいの?」

幼「もちろん!!」

ツ「……で、服で隠れて見えない身体のいたるところに引っかき傷作られたと」

幼「そうなの、エヘヘ♪」

ア「過度なマーキングを施すことによって所有権を激しく主張してるんでござるなあ」

僕「歪んだ愛情だよね」

ツ「僕くんが言わないでよ!?」


~ ~ ~


ツ「もっと普通に可愛くしなさいよ」

幼「普通ってさ、人によって定義が変わると思うんだよね」

ツ「面倒くさいユーチューバーみたいな言い回しはやめること!」

幼「普通に可愛くってなにするのー=ー???」

ツ「ペディキュア塗るとか」

幼「確かに普通に可愛い!」

ツ「これでよし、と」

幼「おそろいだー!」

ツ「これで私たち二人は」

幼「ペディキュア!」

僕「これがやりたかっただけか」

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