8 役得
「おーい、大丈夫か? ほら肩貸してやってんだからちゃんと立てって」
「え、私めっちゃ立ってんじゃん。マモル君こそ真っすぐ立たないと危ないよ? まったくぅ、わたしが支えないとぉ倒れそう」
「支えないと倒れるのお前!」
会計後、一応目を覚ましたもののフラフラなハルカに肩を貸しつつ、アルバート達とこの後の事を話す。
「良ければ無事な人何人かで二次会……って思ったが、その調子だとマモルは不参加の方が良さそうだな。お前をハルカ係に任命しようと思う」
「……ああ、確かにコイツ家まで送らないとですよね。分かりました」
正直二次会とやらにも参加してみたい気は合ったが、流石に肩を貸したら離れる気配が無くなってしまったハルカを引っぺがしてまで参加する気にはなれない。
無事ハルカを家に送り届けなければならないという意思と、この状態のハルカを誰かに託すのが申し訳ないという意思が同時に沸いて、とにかく頑張らねばという気持ちになる。
「とりあえずコイツは俺が家まで送るんで。今日は色々ありがとうございました」
「ああ、お疲れ。明日も仕事だから遅れるなよ」
「はい!」
「よし、良い返事だ。じゃあマモル、そっちは頼んだ。気を付けてな……って、冷静に考えてみればお前ハルカの家分かるか?」
「いや、知らねえっすけど、一応今はハルカともある程度意思疎通取れてるんで。聞き出して連れていきます」
「そうそう、らいじょうぶれすよ。わらし酔ってないんで」
「……頼んでおいてこう言うのもアレだが、本当に大丈夫か?」
「大丈夫……だと良いんですけど」
と、そこで申し訳ないがまだ名前を把握できていない女性職員に肩を借りていたソフィアが秋山を呼びさして言う。
「あ、送り狼じゃーん」
「送り……えっと、なんすか?」
あまり聞き馴染の無い言葉だ。
流石に酔っているのか意味が理解できない。
理解できないが、変な事を言うな馬鹿とばかりに女性職員に頭にチョップを入れられてる辺り、何か失礼な事を言われていたのかもしれない。
まあ酔っている人間の失言なんて別に気にしないから良いが。
素面の相手に色々と言われ続けた経験があるからか、その辺は本当に気にならない。
「と、とりあえずお疲れ様でーす。ほら、ちゃんと歩けよ」
「えーおんぶー」
「マジかよ。まあ良いけど。と、とにかくお疲れ様でーす。はい、ほら乗れ。ちゃんと捕まれ」
「あーい」
「で、家の方角どっち」
「あっちー」
そうして指差された方角へ向かい歩き出す。
胸とか当たってるのはゲスいけど普通に役得だと思いました。
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