12 最高の休日の終わり

 それからいくつかの場所を見て回り、その過程で色々補足説明のような事もいくつか聞いて。

 後はATMでお金を下ろした後、食料品などの最低限必要な物資を買い込んで。


「じゃあ明日八時に迎えに来るから」


「おう、今日は色々ありがとな」


「じゃあまた明日!」


 アパートの前でハルカとそんなやり取りを交わして、この日の一日は終わりを向かえる。


「……さて」


 ギリ捕まらない程度に荒い運転でその場を去ったハルカを見送りアパートの階段を上る。

 借りたお金をあまり使いたくなかったのもあり、今夜は外食ではなく自炊だ。

 そもそも普段は外食などあまりしないので、今夜はというよりいつも通りと言うべきか。


 大体どこの世界も食べてるものは同じだったのだろうか。文字が読めずハルカのサポートが必要不可欠だった以外は、ある程度違和感なく買い物を済ませる事ができた。

 そして明日からは職場で携帯端末を貸し出して貰えるらしく、そして実質スマホなそのアイテムに翻訳アプリも入れる事ができるので、明日からはよりスムーズな買い物もできるだろう。


「翻訳……っていうか、そもそもなんで普通に言葉は通じてんだ?」


 まあ自分の中にバグった力があって、異世界が合って。そこに連れていく神様のような存在がいる時点で、多分なんか通じましたみたいなふわふわした感じで終わらせても良いのだろうけど、そんな風に些細な事で疑問みたいなのは湧いて来る。


 だけど暮らしていく内にそういった違和感のような物も感じなくなっていくのだろう。

 故にとにかく自分にとっては本当に良いことずくめだ。


「……最高の休日だったな」


 そして明日からも最高の平日と休日を繰り返していけますようにと祈りながら、買ってきた食材を冷蔵庫へと入れ始めたのだった。

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