水陸両用型 スス
ー 平成? 7月 通学路 駅前 朝7時10分 ニャラケルサイド ー
ここは?
確か僕たちはキョウカさんを救いに王都キマシタワーへ向かったはず。
いやここは王都ではありませんね。
電柱が張り巡らされて巨大なビルもない、
せいぜい3階建ての建造物とコンビニが目立つくらい。
アスファルトこそあるものの、ところどころに木々が目立つし
セミがうるさく鳴いている。
どうやら田舎でしょうか?
「なに?まさか転校初日で
アンタらしくないじゃない!!!!!」
誰ですか?赤毛で肩ぐらいまで伸ばしてるくせにボサボサで
ケアをしてない馴れ馴れしい女は?
さらっと肩組まないでくださいよ、セクハラですか?
あなたの身長低いから微妙に手が届き切っていないんですよ。
「まあウチらがフォローするから安心しいや」
薄い青色の髪で方言で喋るスラっとしたモデル体型ということは!
「まさか、アオイママ?ということは!
ショートスカートのほうはススパパ!!!
似合ってませんよ!!!!!!!
そういうのは体のスタイルがいい人がやって初めて効果が出るんです、
” あれ?あの人スカートのサイズ間違えてない? ”
みたいに思われるがオチなんですよ」
「余計なお世話じゃい!!!!!
あとアオイはママでもなく!!私はパパでもない!!!
私が長女でアオイが次女、でアンタが三女のニャラケルってこと!」
「とうとう暑さで壊れましたか。
いいですか?僕たちは王都キマシタワーに向かわなければならないんです」
スス・アオイ 「「王都キマシタワー?」」
「もしかしてアレじゃない?平成タワー。
334メートルのデカい塔」
「いえ666メートルのほうです」
「うーん夢でも見てるんちゃう?」
2人は知らないようですね。
ということは異世界に飛ばされたか、
もしくは ” 過去 ” へタイムスリップしたか。
「それよりスス、今何時?電車間に合う?」
「ニャラケルっ走るわよ!!!」
「え?」
ススパパは私の手を引き走り出しました。
というかパパのスカート
女子としてのプライドとかないんですか!!!!
僕のカバンで隠すのももう限界、はらりと宙を舞った布切れの下には
” 学校指定の短パン ” が居座っていやがりました。
期待した僕がバカでした、下着が見たかったのではなく
僅かな確率でもススパパの女子力を過信した事です。
確かに体育の授業で忘れることはないですが
やってることがズボラなんですよ!!!!!!!
それならまだスパッツ着ていた時のほうがマシです!!
「ちなみに短パンの下はスク水で水陸両用や」親指グッ
アオイに思考盗聴されてます!!!アルミホイル下さい!!!!
雨でプールが中止になることも想定していたとは・・・
ゑ?じゃあ雨の日はずっとスク水で授業受けてるんですかこの女ァ!
「いや流石に下着は持ってるから!!!!!」
ススパパにも考えが読まれてます!!!!
通販で売ってる怪しい電波遮断装置も下さい!早急に!!!!
ここが異世界や過去だとしてもススパパの常識についていけそうにないです、
いえ・・・・ススパパの思い出を引き継いだ僕だからこそ
彼女はこうあるべきという価値観に囚われているだけかもしれませんね。
・・・・・でも ” ガニ股 ” で階段駆け上るのだけは止めて下さい。
本音で。
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