” 運命 ” その2

 「うーん。ああこれならいいか。


キョウカは実は人体錬成で誕生して本物のニコラス・スラーは

アトランティアで死んじゃったって事」




 は?カラオケ次何歌うー?みたいなノリで何言ってんのこの女!



 「いや意味わかんないし!そもそもアトランティアの時点での

人体錬成は未完成で・・・・・。まさかアンタ!!!!」



 「不正キョウカァ!

あなたがこの世界に来たことも!

人体錬成の知識の事も!

本物のニコラス・スラーを自身の手で殺したことも!

最近仲間たちをひどい目に合わせたこともぉ!


 全部あたしが!いやキョウカが招いたことなんだぁよぉ!!!


 ハハハハハハハ」



 「いやありえないし!」



 「あり得るよ?だってあたしキョウカより頭がイイから。


 キョウカがパパ活に手を出していた時、あたしは社長秘書をやっていた。


 知ってる?

 秘書とはいえ出世を狙う部下たちから多くの貢物を貰えるの、

パパと言わず女性からも。しかも軽いボディタッチ程度でね。


 パパ活をしている小金持ちと違って役員クラスが相手だ。


 何がとは言わないが、文字通り桁が違う。


 で、人の何倍もの給料をもらってキョウカの生活を監視させてたの。



 キョウカが夫と別れていよいよあたしが告白するんだーって時に

転売屋を始めたの。


 金銭面に余裕ができるとあたしのアプローチは失敗する。


 だから ” 髪の毛 ”を入手するまで何箱も買ってあげたんだ」



 「アンタが私のヘビーユーザーって事?」



 「そうなるね。遺伝子情報手に入れたから金で雇った炎上屋を利用して

キョウカのお金を稼ぐ手段を絶った。


 今度こそと思っていたら自殺しちゃったんだ。


 

 そこからあたしはキョウカの遺伝子、髪の毛を利用し子供を作った。


 あたしとキョウカの遺伝子組み換え人間デザイナーベビーを。



 その研究の応用が人体錬成ってことだ」



 「あの世界でアヤメと私は女同士だから結婚できるわけないじゃない!!」



 「だからあの時、男性のアレを生やして性転換するべきだったんだ!

離婚したタイミングならチャンスはあった!!!」



 「アンタ相当ぶっ飛んでるから!男の楽しみなんて

トイレの石鹸に的あてするぐらいしかないでしょうに」


 

 「そうなの?」首傾げー



 ああもう!どこまでも天然なんだから、この子は!!!!



 「もう大体わかった。私の遺伝子情報知ってるってことは

異世界転生して地獄にいる私を呼び出せるように調整したってことね。


 で成功したのがニコラス・スラーって事」



 「そう!それが言いたかった!!!」



 アオイが話してくれたらもっと手早く知れたのに。


 頭はいいけど要領が悪いんですよ、アヤメは。

 



 「次の質問!私が人体錬成だってことに教えて」



 「キョウカの人体錬成と同様髪の毛が抜け落ちた時点での

記憶は引き継がれない。


 つまり10分前に抜け落ちた遺伝子は5分前の事を知らない。



 眠っている間に髪の毛を引き抜いたら? 



 意識があやふやの状態で誕生したら本物も偽物も意識の違いはない。


 違和感も夢でも見ていたかと勝手に判断するんだ」



 「やりやがりましたね、アヤメ。でも私が本物を殺すタイミングなんて

・・・・・あの時!!!


 本物が偽物に紛れてガス室に言ったのなら説明が付く!


 けれどそんなことをするメリットが!!!!!」



 「確か ” ありがとう ” と感謝されてたはずだ。


 それは自分に変わって、人体錬成の処分をしてくれることへの感謝だ。


 キョウカは優しいから自分の手で殺したくなかった」




 「・・・嘘・・・・今までの発言は全部ウソよね?


 ねえ・・・・アヤメ。 


 嘘と言ってよ・・・・」




 もう駄目みたい。ニコラス・スラーという支えを失った以上

生きている意味なんて・・・・。




 「もうこの世界に本物のニコラス・スラーも不正キョウカも存在しないし

友達も自身の手で傷付けた。



 ここまで追い込めばあたしの愛に気が付いてくれるはず」



 「ねぇ、私ってキョウカの身代わりなの?」



 「ふぅ、今まで喜々として人体錬成をしてきたキョウカが

ソレで生まれたという皮肉。



 これ以上ない代償を払ってあたしの愛を手に入れれるんだ。


 質量保存の法則程度無視できるんだ。



 ハハハハハ!!!!!」



 「あっ・・・・」



 もう無理。地面に倒れ体が動かない。


 何者でもなくなった私はもう・・・・・。



 「なんだ、この程度の負荷で死んじゃったのか。


 しょうがない。次の器を探しに行こうか。



 キョウカの遺伝子情報がある限り、何度でも錬成してあげるんだ」





・・・・・・・・・




 「そう、何度でもだ」






 

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