” 威風堂々 ”その2


 ー ポルタメント女学園 保健室 ー




 「八ッ!!!此処は!!作戦は!!!」



 「失敗だ。別人のような振る舞いをしていた君のせいでな」




どうやら気を失ていたみたいですね。




 「別人?意識失っていた時ですか?」



 「10分ほど君が不自然な挙動を取った後倒れた。


質の悪い洗脳魔法ならいいがそうでもないらしい」



 「どういうことです?先生」



 「匂いだよ。魂の匂いが違うんだ」




 何ですか?魂の匂いって。




 「今日は面会謝絶だ。原因が分からない以上君と彼女たちを

関わらせるわけにもいくまい?」



 「先生、私は・・・っぐああああああああ。

誰です?私の中にいいいいい」



 「どうしたスス君!!!!!」



 気が付いたときには先生の常備していたビール缶を

全て床にぶちまけていました。



 それが先生にとって大事な物だと分かっていたのに。



 それから記憶が途切れ途切れになっていましたが、

目覚めたのは次の日の朝、廊下で寝ていたみたいです。



 メールに惨状の鱗片が書かれていました。



 ニャラケルには偽物だの親になった覚えはないだのの暴言を、

 母には正月返上の仕事の依頼を、

 そしてアオイには・・・・どうしてこうなってしまったの?


 私はススのはず!不正キョウカでもニコラス・スラーでもない!


 私は!私は!!!!







☆☆☆



 ー 体育館 ー



 「どうしたんですかぁ?ニコラス?にゃひひひひ」



 私はニャラケルを呼んだの。ただ話し相手が欲しかった。


 もうススパパとは呼んでくれない。まるで壁ができたかのような



 「ごめんなさい。ただ・・・・」



 「僕の学園長権限でアオイと先生は

アルケミストの学園へ編入することとしました。


 しょうがないんですよ?誰かが暴走しなければこんな結末にはならなかった。

にゃひひひひ」



 「そう・・・・それが正しい選択じゃないかな?」



 もうススのように威風堂々とした性格は演じきれない。



 「懐かしいですね、不正キョウカ。

僕にもそんな感情があった。


 けれど僕が求めているのはススとしてのあなたです」



 「無理よ・・・もう。

だって!先生も!母さんも!ニャラケルも!そしてアオイも!!!

全員傷つけてしまったの!!!


 もう私には無理だよ!!! 


 私には人を導く先生にも!!リーダーになる素質も!

錬金術の才能も!魔力量も!!!


全部!全部!!全部!!!持っていない!!!


 キョウカだった時代から何も変えられなかった!!!



 もう保健室登校すらできない!!!!!!


 私は・・私の・・・・・私が・・・・・・・壊れたんだ。何もかも」

 


 涙を流して支離滅裂な言葉を叫ぶけれどダメみたい。




 「よかった。まだ手遅れじゃないようですね。


 もう少しだけ耐えてください。


 その様子なら何も食べていないでしょう?

購買で人気の ” チョコチップ・チョコクリームパン ” 買ってきました。


 頭脳労働には甘い物ですよ?にゃひひひひ」



 「ありがとう・・・・思えば私って酷いことばかりあなたに言ってたね。

ごめん・・・・ごめんなさい」



 チョコパンを受け取っても涙は止まらないの。


 元は私だっていうのに何で私なんかに優しくするの?


 もう誰も仲間なんていな・・・・・・



 

 ☆☆☆



 気が付いたらニャラケルは居なかったの。


 そして踏みつぶされたチョコパン。


 自分が何をしたかは分かった。


 きっとパンを踏みつぶしてニャラケルに酷いことをしたんだ。



 なにしてるのか自分でも分からないけれど、

踏みつぶしたパンを食べだしたの。


 こんなことしても罪悪感なんて消えるはずないのにね。


 購買で人気だというけれど、しょっぱくて目が霞んでぼやけてる。


 なみだ が でるほど おいしい みたい。


 けれど ゆうき は わいてきたの。


 そんななか メール が とどく。



 ” 明日の正午12時、アルケミスト駅にて待つ ”



 てんぷ されていた しゃしん は 鏡 に うつった 花。



 わたし の かこ。


 ふせい キョウカ の かんじ と いっしょ だったの。




 ー 最終楽章 前編 百合の鳥島攻略戦 完 ー


☆☆☆



 嘘次回予告 最終楽章 後編 人体錬成VS人体錬成





 ???   「あたしとあの人の遺伝子を掛け合わせた赤ん坊は死産した。


       だからあなたの遺伝子が欲しいんだ。


       同じ人体錬成の使い手なら分かるだろう?


       究極の生命を作るため倫理をこねくり回すのが人体錬成だ」




 ???   「くだらない。


       学生の性格なんて教師に歪められて変わっていく。


       洗脳も、教育も、人体錬成も全部が他人に与えるエゴなんです。



       きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」








 ???   「あたしたちは錬金術師だ。


       そして今すべきことは調合だとは思わないか?」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る