夢日記:本を刷る

 本を作る夢を見た。本といっても書店で売ってるような立派なものではない。所謂同人誌といわれる、個人で作る薄い本だ。

 三ページくらいネームを描いたところで、一人で作業するのが寂しくなった。誰かを巻きこんじゃおう。作業通話にも憧れがあるしと、十年来の友人を誘うことにした。

「お前も本を刷らないか?」

 どこかの悪役よろしくそんなメッセージを送った。返事を待つまでもなくまた自分の作業に戻る。安物の板タブに滑らせたペンが捗る。アイディアは、脳内で映画が再生されているようにどんどん溢れてくる。

 霧煙る怪しげな街、暗闇から現れる未確認生命体。イギリスの鉄道と芋虫みたいなゴジラが並走してロンドンから一足飛びに東京を目指す。時空を越えた汽車は乗客を乗せたまま行方不明となるが、数年後、唯一の生存者が現れた。右側の眉毛だけを剃り落としたミステリアスな女性が意味深なことを呟くと、世界各地でデスゲームが始まった。汽車や自動車が走る音が聞こえ、どこからともなく突撃してくる。轢かれてしまえばゲームオーバー。いつ、どこから来るのかは不規則で不明だ。人々は走行音に怯える日々を過ごし、次々と脱落していった。その中で、必死に避け続ける少女たちが居た。二人は協力して生き延びる。時には自己犠牲を払おうとするが、もう一人が必ず止める。そういう関係性っていいよね。好き。デスゲームは終わらないが、一息ついたところで二人が杏とプルーンを食べておしまい。余裕入稿。

 もう自分でも何を書いているのかわからない。夢とは得てして支離滅裂なものだけど、こんな現実味の無いしっちゃかめっちゃかなの久しぶりに見た。

 でも、たぶん、暗闇から現れる未確認生命体は映画『パシフィック・リム』のイメージだと思う。それからゴジラは『シン・ゴジラ』。イギリスが最初の舞台だったのは、同国の裁縫バトル番組や菓子焼きバトル番組を見ていた影響かもしれない。あとイギリスの山野に鉄道模型を走らせる番組。右側の眉毛だけを剃り落とすのは、大河ドラマでそういうシーンがあった気がする。ミステリーとかデスゲームとか百合っぽい要素は、カクヨムでコンテストや自主企画があったから、それ用のネタを考えたり挫折したりしてたせいかもしれない。どこからともなく突撃してくる自動車は映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』であった。杏とプルーンは、つい昨日、買おうか迷った。最近ちょっとおやつ食べ過ぎかなというジレンマがあったから強く印象付けられたのかもしれない。同人誌を描くくだりは、ツイッターで原稿に追われる人を見て「大変そうだけど楽しそうだな~」と思ってたりしたからか。

 支離滅裂な夢もこうして一つ一つ考えてみると、だいたい全部自分の頭の中から出てきたんだなあとわかって面白いかもしれない。楽しいのは私だけかもしれない。


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