6月

初作はブロッコリー

 小説というものを書き始めてだいたい一年が経ちました。

 書いてみようと思い立って一番最初に考えたのは落語『寿限無』のパロディをした甘酸っぱい青春恋愛小説だったんですが、一番最初に書き終えたのは主人公が神になる話でした。タイトルは『君を崇める宗教』

 ある日突然、主人公は神様になってしまいます。別に特別な力を授かったとかではないし、世界を創造した覚えも無いし、アヤシイ宗教に入ってもいない。ただ外を出歩くとありがたそうに拝まれる。あなたのおかげでダイエットに成功しましたとか、あなたのおかげでマッチョになれましたとか、そういう具合に。身に覚えがないから気味が悪いんですけども、感謝されているから悪い気はしない。満更でもない。そうして浮かれポンチになった主人公は“花が咲きそうな気分”になってしまうのです。すると、どこからともなく「それはいけない! はやく茹でてしまわないと!」と声が聞こえてきて、わけもわからぬうちに熱湯の中へ。そして皿の上へ。「私は神なんだぞ!」という抗議の声も虚しく、最期にマヨネーズをかけられておしまい。

 改めて思い出してみるとなんだか妙な話ですね。ちょっと不思議なショートショート的なものに憧れていたし、筋トレや筋肉系の食事が流行っているし、ということで生まれた「ブロッコリーの神になる話」でした。私の処女作ブロッコリー。


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