4月

飼い猫の話

 パソコンで作業している最中に、猫がキーボードに乗って邪魔してくる……というのに憧れたことはありませんか。

 私はあります。「もう、しょうがないんだからぁ」なんてとびきり甘い声で諫めて、ついでにそのまま顔面を突撃させて猫吸いです。そういうことをしたい願望はたぶん、人類共通だと思います。

 しかし、我が家の愛猫はそういうことをしてくれないのです。そもそも机の上にすら乗ろうとしません。私の膝にヒラリとやってくると、それからはもう、お行儀よくくつろいでいます。私は時おり頭を撫でたり腹をもふもふしたり、肉球をつんつんぷにぷにもにもにします。猫はされるがままなうえにゴロゴロと喉を鳴らす始末。可愛い。こんなに可愛い生き物がこの世に存在していて良いのか? 良い!

 でもね、思うんです。飼い主の気を引きたくならないのかなぁ……邪魔したくならないのかなぁ……。飼い主なんて自動給餌器、兼自動トイレ掃除機、兼自動なでなで器としか思われていないのでしょうか。下僕なのでそれはそれで良いんですけども。ちょっと寂しい。

 この文章を書いている今も、猫は気ままに過ごしています。二本ある尻尾のうち一本はゆらゆらと大きく揺らしてリラックス。そしてもう一本は私の腕に巻いて。え? 可愛すぎひん? やはり猫は神が造りし至高の生き物。


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