おはぎが許せない

 私は「おはぎ」というものが許せません。

 もち米というものが苦手なのです。お萩と牡丹餅だけでなく、実はお赤飯や炊き込みご飯も食べられません。そのせいで祝いの席が憂鬱でした。春に食べる桜餅だって、道明寺より長命寺派です。

 しかし、お餅というものは大好きなのです。正直、大好物と言っても過言ではない。バターでこんがり焼き、味醂と砂糖をたっぷり入れた甘いみたらしにからめ、香ばしいクルミをトッピング。これが最高の食べ方です。

 話をお萩に戻しますと、「なぜ、そこで止めてしまうのか」ということです。そういうことを言いたいのです。いくらか粒を残すやり方に疑問を呈さずにはいられない。この粒を残した状態を、田舎では「はんごろし」と言います。どうして完全に息の根を止めないのか。中途半端に残しておくのは悪手です。幼いからと情をかけて源頼朝を流刑にした結果、平家は滅んだのです。そこに情など不要なのです。台所もまた然り。

 お萩や牡丹餅など、全てなめらかなあんころ餅にしてしまいなさい。しかし異論は認めます。私は山で、そなたは町で暮らそう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る