メイドの私とご主人さまの君


今日もいつものもように朝礼がはじまる

正直言ってメイドなんて興味がなかった

変な客ばっかでその相手をするなんて私には理解できなかった今だってできない

それでも今の私はメイドをやめない理由がある

それは

「いらっしゃいませご主人さま」

「あ、今日も居たんだ」

君がここに来てくれるから

まぁ決してイケメンとは言えないけどね

新人だったときから応援してくれていつも

チェキの指名のときは私を指名してくれる

まるで私以外見る目無いみたいな

なーんてそんなこと無い無い

あくまでここではメイドとご主人さまなんだから

お気に入りのメイドだけを指名してる人なんて

他にも沢山いるし

でも君が他のメイドと話してるのを見てると

心のどこかが痛くて他のご主人さまの注文を聞き取れなかったりする

あーそっか私は君にきっと恋をしてるんだ

いわゆる禁断の恋的なやつなのかな 

そう分かっていても私は諦められなかった

それから数日後が経ち

チェキに使う油性ペンを買いに文房具店に行った

帰り道のことだった

私の目に写ったのはカップルらしき男女だった

私はその男の人に見覚えがあった

そう君だった

今すぐにもその場から走り出したかった

信じたくなかった今そこにある現実を

もしカップルだとしたら

私が期待していた君への思いはなんだったのか

最初から私だけが恋愛対象として見ていたのか

そんな事ばっか頭に浮かんでくる

その後私はメイドをやめた

君に合わせる顔が分からなかったから

君への思いを消したかったから

君と居たのは単なるお姉さんで

私へのプレゼントを探していただけだったと

知らずに私はしばらく失恋の悲しみによって

引きこもるようになっていた

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