第41話
一方その頃、夜斗・煉河・霊斗
喫煙所…とは名ばかりの灰皿を置いただけのスペースにて
「夜斗いつになったら告るんだ?」
「…告白する気はない。向こうは利害関係だと思って接している。俺が一方的にそんな要求は言えない」
「義理堅すぎる…。僕が思うに勝敗は五分五分だがな」
「五分五分で告るほど俺の恋愛観はできてないんだ。知ってんだろ、俺が今まで何度嘘告されたか」
単純に思い出せるだけで5は超えており、煉河の記憶では更に多い
高校で罰ゲームとして利用されていたこともあったのだ
「それに、俺は弥生を好きだなんて一言も…」
「「付き合いの長さナメんな」」
「デスヨネー」
弥生より遥かに長い付き合いを持つこの2人だ
夜斗の「眼」やそれに準ずる能力がなかったとしても、夜斗を知りすぎている
動きや視線、声音などでその時の感情をある程度推察できるのだ
「どこが好きなんだ?」
「どこって言われると難しいな。全部?」
「ありきたりで面白くない。不採用。緋月言ってやれ」
「えなんで俺…。まぁ、ぶっちゃけ最初はただの一目惚れだよ。んで話してる間になんていうかこう、健気なとこだったり献身的だったり若干ヤンデレなとことかに惹かれた」
「…煉河は?」
「僕はまぁ、最初は兄を気遣ういい子だとしか思わなかったな。けど次第に、気遣いができるということ自体が素晴らしいと思って目で追っかけてた。友人の妹だからと自制してたが、玉砕覚悟で告白したらイケた口だな」
「…要するに?」
「なんとなく全部」
「「同じじゃねぇか」」
吸い終わったタバコを灰皿に入れてまた吸い始める3人
どうやらお互いに、話はこれで終わらないようだ
「そもそも夜斗が惚れるの異常事態じゃね?」
「それは言えてるな。僕が思うに、やはり契約結婚制度には確かなものがある。かくいう僕も、紗菜と同棲して初めて得た知見もあったしな」
「…どうだか。俺だって人を好きになることはある」
「受動的に、な?告白されたから付き合ってるだけで、実際好きってのほぼ無かっただろ。手を繋いだだけの子とかいたし」
霊斗は良くも悪くも知りすぎている
最近では八城・雪菜が積極的に教えてるようだが
「…ったく。お前らみたいな単細胞ならともかく、俺は繊細なんだよ」
「「今お前俺のことバカって言ったか?」」
「言ってねぇよ息ぴったりだな馬鹿共」
「言ったじゃん!」「言うなよ」
笑い合いながら吸い殻を捨て、中へと戻る夜斗
残された2人は顔を見合わせて、呆れたように笑った
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