第40話
「先輩を気に入った理由はなんですか!」
「…もうやだこの2人…。そもそも仮に私が夜斗を好きだとして、それがなにか関係あるの?」
「私はお兄様を好きで好きでたまらない3人の女性から頼み事をされています。お兄様と相思相愛になった人がいたら教えて、と」
「怖っ…。何されるかわからない」
「あ、多分それは大丈夫です。先輩に嫌われたくないから手出ししませんし。何より私が何もしてないので」
「…貴女今人妻でしょ」
「ある種の兄妹愛ですから!あっ、ごめんなさい紗奈さんちょっとその二本の指を私の顔に近づけて何するつもりであああああ!!」
目潰しとまではいかずとも、寸前までやられた雪菜がわざとらしく泣くふりをする
それをガン無視して紗奈が弥生との距離を詰めた
「それはともかく、お兄様に見合う方か判断したいので。今までが今までですからね」
「…彼女いたことないって聞いてるけど」
「厳密にはマトモな人が彼女になったことがない、ですね。まぁそれはともかく、お兄様のためを思うなら聞いておきたいんですよ。あ、守秘義務は果たします」
紗奈に睨まれて小声で是を返す雪菜
どうやら守秘する気はなかったらしい
「…別に。夜斗はなにかと私を気にしてくれるし、「眼」を使ってるのか大抵思考を読んだみたいにお願いが通る。私が動けないときとか、両親亡くしたときに寄り添ってくれたし…」
「結構つらつら出てきますね…」
「先輩も罪ですね…」
「…あとは、最近無理やり一緒に寝てるけど拒否しないし、寝てるふりして夜斗に抱きついてみたらやり返してくるからそれが愛おしくもあって…。盗撮被害に合いかけたとき私の数倍怒って、相手を社会的に始末してくれたり…。全部語ったら2時間くらいかかるけど、戻ってこないように時間稼げる?」
「弥生さん史上最長セリフですね…。というか、それだけお兄様を愛してるのむしろ怖いです」
「…これからもよろしく、
「あれなんかお兄様が応じる前提で話進んでません?」
クスッと笑う弥生に、してやられたと感じた雪菜と紗奈
紗奈はエコーロケーションで、雪菜は経験でその意図を読み取った
「可能性はないと考えているんですね。先輩が弥生さんを愛してる可能性は」
「当然。ほぼ5年過ごして、私は夜斗に尽くされた。だから堕ちた。でも、私が夜斗にしてあげれたことなんて大したことはない。だから、これは諦めの吐露」
「お兄様が弥生さんを拒否するとは思えませんが…。どうせなら契約結婚までしてしまえばいいと思います。もしお兄様がそれを嫌がるなら、途中で言うはずですから」
「最初からそのつもり。けど、もし私が夜斗に好かれてたら、2人は私に焼肉奢り」
「「うっ…」」
弥生に聞こえないよう編み出された2人だけの暗号で会話をすることをアイコンタクトで示した
それは指の動きで文字を伝える、という方法だ
(負け戦じゃんこれ!)
(そうはいっても、拒否したらまるで答えを知ってるみたいになります。お兄様の意思を尊重するためには乗るしかありません)
(…まぁね。先輩を立てるためにも、覚悟決めなきゃ…。ああ…この損失痛いなぁ…)
覚悟を決めた2人が頷きあい、その賭けに乗ることを宣言した
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