第14話
施設内フードコート…ではなく、かつて莉琉と久遠が再会したファストフード店へ移動した3人
ショッピングモールから徒歩10分ほどの近場にあるため、フードコートが混んでいるときにはこちらを利用したほうが移動時間を含めても早く出てくるのだ
「仕方ない今日は奢ろう。まぁ俺の金じゃねぇけど」
「
「一応生活費だが、今月はさして必要ないからな。来月から気にするとしよう」
今月請求が来るものはさしてない
食費に費やすことになる
とはいえ夜斗も程々に年頃だ。自由になるお金を確保しており、そこから出すのだ
「…こういうところ、何気に来たことないかも」
「マジかよ天下のワクドナルド様やぞ!?」
「学生の味方とされるファストフード店ですよ!?」
「うるさ…。家が厳しいから、学校と習い事以外ほとんど外に出たこともない。だから友達もほとんどいない」
「悲しいことをカミングアウトしたな…。ならそうさな…オススメはこれだ」
「ならそれにする」
衝撃のカミングアウトを2回食らい、夜斗も紗奈も一瞬言葉を失った
学生なら1度は友達連れで行ったことがあるであろう店ナンバーワンだというのに
「橘はどういう教育されたんだ?」
「…端的に言うなら、英才教育というもの。具体的には幼少期からなにかしら習い事をしていて、ピアノとかフルートを演れるようにされた。塾も2つ入ってたから、外に出る暇もなく宿題をしてた」
「…壮絶ですね」
注文を終えて物が来るまでの間、当たり障りのない雑談に興じることにした夜斗
が、どうやら話題選びを間違えたらしい
「高校になってもか?」
「今は、塾もやってないし習い事もない。けど今更遊びに行く感覚が分からなくて、ほとんど外に出なかった。そんな中で契約結婚の話が出て、親は反対して抗議する気だったけど冬風を見た瞬間ヨシになった」
「お兄様…いつの間に取り入ったんですか?」
「何もしてねぇわ。つか紗奈にはいっただろ、互いに利害関係だって。俺もできることなら拒否してたわ」
実際拒否はできそうだった
しかし八城の顔を立てるためにも受け入れたのだ
「私は、親の支配から逃れるために契約結婚のモデル制度を利用した。冬風のことも、そのために利用する。だから利害関係」
「はーん…。ま、それも1つの手だよな。やりたいようにやればいいさ」
注文したものがテーブルに運ばれてきたため会話を一時中断し、それぞれが食事に集中した
食事が終わるまで誰一人喋らないため、周りの喧騒のみが耳に入る
(鬱陶しい色合いだ。鮮やかな色使いとうるさい色使いは違うしな…)
ただ色々な色を使えばキレイになるわけではない
ある程度バランスがないとただ色をぶちまけただけになってしまう
今夜斗の目に映るのはそれだ。しかし、それでもある目的のために色を見るのをやめない
(共同生活の上で思考が読めないと困るからな。橘の色を見分けないとならん。ついでに、行動パターンの把握もしておけばなんとかなるだろ)
(とか考えてそうですね。難しく考えすぎなんですよねー、お兄様は)
兄を横目で見ながら食べ進める紗奈
紗奈は色を見ることはできないが、異常に耳が良い
いわゆるエコーロケーションという能力を持ち、それの応用で人の体調くらいなら音で読み取れる
(お兄様も、不安なんですね。弥生さんに負担をかけないように、それでいて無為な干渉を控えるように。でも、弥生さんはお兄様をしっかり見ているみたいですけど)
心の中でクスッと笑い、トレーに載せられていた紙ナプキンで口元を拭った
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