第2話
生徒会顧問や他のメンバーが到着し、会議がスタートした
内容は、今から1ヶ月後…11月に行われる文化祭についての話だ
当日は風紀委員会と共に交代で巡回警備を行うため、割り振りを決めるのだ。が
「毎年そうですけど、なんでわざわざ風紀委員会と組ませるんですか?私と先輩を引き裂かないでください」
「そういう取り決めなんだから仕方ないだろ。つか元々くっついてないんだから引き裂きようがない」
「ツレない方ですねぇ…。会長もそう思いません?」
「あ、ああ…ソウダネ!」
会長と呼ばれた三年生がカタコトで応じた
普通科三年特別進学クラスのトップ10に毎回入る秀才だが、女癖が悪く全生徒から嫌われている
そんな会長が手玉にとることができなかった者の1人が雪菜だ
「…
「何を言うんだ
「そうかよ…」
微笑む雪菜から圧を感じて言い合うのをやめる夜斗と会長こと白鷺
普段は仲が悪い2人だが、こういうときの連携は抜群だ
「…神崎に関しては去年同様、夜斗の相方に変わってもらえばいい。それ以外はシフト通りだ」
「さすがです先生、その手で行きましょう」
「異議あり!」
「却下だ。それを許可すると会議が止まる」
「うぐぐ…」
「…他に議題ありましたっけ?」
雪菜が顧問に目を向ける
すると顧問が立ち上がり夜斗を指差した
「議題というより決定事項だ。夜斗、お前に政府公認の同棲相手ができた」
「「はい?」」
夜斗と雪菜の声が見事にハモった
政府公認とはなんだろうか。そもそも同棲相手とは?という疑問が二人に襲いかかる
「契約結婚は知ってるな」
「…まぁちょうどさっき雪菜とその話題だったが」
「デモンストレーション的な感じで、各学校から三年生男子1人、一年生女子1人を選んで隣接する高校の代表と同棲させる制度ができた。で、生徒会で唯一彼女のいない三年生男子はお前だけだ」
「生徒会から選ぶものなんですか?」
「いや?ただ正直なところ、他の三年生男子って彼女もしくは彼氏がいるんだよ。俺調べ」
「「ああ…」」
工業系学科には女子生徒がほとんどいない
そのため、同性愛者となることも珍しくはないのだ
結果、ほとんどの生徒には恋人がいる…というのもありえない話ではない
「それで俺に白羽の矢が立ったわけか」
「そういうことだ。この制度で何組も同棲家庭が生まれることになり、それぞれ毎月5万の資金援助がある。これには返済義務はない。そして、同棲開始一年は強制だが、それ以降は別れてもいい」
「じゃあ大した問題じゃねぇな」
「そうですね。一年後に同棲解消して私と同棲すればいいだけです」
「お前との同棲は三日で解消してやる」
「なんでですか!」
つまりは五年後に契約結婚の夫婦を大量に作り、離婚率の低さをアピールするというものだろう
だがそもそも結婚しなければいいだけの話だ
「…まぁ、いいけど。相手との顔合わせはいつだ?」
「公表日から10日後だ。公表日というのは改正法の公布日」
「…明日じゃね?」
「ああ。伝え忘れたからな」
「というか先生、俺も彼女いないんすけど?」
会長が異議を唱えるのを若干睨んだ顧問が、少し拗ねるように理由を話す
「お前俺の教科だけ赤点取ったから腹いせ」
「う…数学苦手なんすよ…」
「数学Aは取れるのにな」
「ふぐぅ…!」
「と、とにかく!明日どこへ行けばいいんだ?」
「それはあとで個別に教える。何故ならその会場は他の人に知られてはならないと業務命令が下されたからだ」
「あー…了解」
夜斗は強めにため息をついた
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