Chocolate Days
さむがりなひと
第1話
静岡県東部工業高等学校第二棟三階生徒会室
「先輩…二人っきりなっちゃいましたね」
「…今日会議だから人来るけどな。つか距離が近いんだよ離れろぉ…!」
男子生徒に詰め寄る女子生徒が笑顔のまま男子生徒に覆いかぶさるようにして顔を覗き込んでいる
「先輩、こんな美少女と部屋に二人きりなんですよ?何もしない…なんてしませんよね?ね?」
「しねぇよ…。つかお前はさっさと目安箱の中身まとめて俺に寄越せ」
「はい」
大人しく自分の机に戻る女子生徒にため息をつく
「…なんか今日ヤケにぐいぐいくるな、
呼ばれた女子生徒が目をキラキラさせて男子生徒に詰め寄った
机に戻ったとはいえ席は隣だ。そう簡単に距離は開かない
「当然です!最近公布された法律は、五年の同棲が必要ですから!」
「…ああ、契約結婚な。けどお前と同棲する気は1ミクロンもない」
「なんでですか!?お金なら私の親が全面的に出すと言ってました!」
「あの人ら意味わからんくらい俺に好意的だよな…。そういうことじゃなくて、俺は結婚に興味ないって言ってんの。つかまだ17歳だぞ」
「今から同棲したって結婚が締結されるのは22歳ですよ?早いほうがいいじゃないですか」
「お前は俺を知らなすぎるからな…」
「結構知ってると思いますよ?
語尾にハートか音符が踊っていそうな声音で言う雪菜
実際雪菜はこの学校の生徒の中で、1・2を争うレベルで夜斗を知っていると言っても過言ではない
「…例えば?」
「そうですねぇ…。恋人でもないネットの友人と週一で3時間も通話するのはどうかと思いますよ?相手にその気があると誤解させます」
「何故それを知っている!?誰にも話したことがないぞそれは!」
立ち上がり絶叫する夜斗
インターネットで知り合った女の子と通話するのは初めてではないが、一人だけ毎週金曜日夜九時から0時まで通話している子がいるのは事実だ
「あとは…食わず嫌い多いですよね。学食でラーメンばかり食べてますし」
「一見するとまともな発言だけど毎日見張ってんのかお前。怖いわ…」
「それとそれと、他の女の子に言い寄られて鼻の下を伸ばすのはどうかと思います。こんな身近に美少女がいるのに!」
「どんだけ見てんだよ!?つか鼻の下を伸ばしてねぇわ!」
どうやら思っていたより見られていたらしい
想定外の角度から知識を披露され、若干…というかかなり恐怖を感じる夜斗
「美少女美少女って言うけど、じゃあ俺の好みの女知ってんのか?」
「小柄な女の子でしたっけ?あと性格的には弱々しくて偶に見せる狂気的な愛がいい、と。あと巨乳」
「最後だけすごく不安になる声音で言うのやめてくんね?つか全問正解だわ、怖…」
本当によく見ている。というより、誰かが情報を売りつけたようにしか見えないほど知りすぎている
売りつけたとすれば、この情報を持っていてかつ雪菜と交流があるあの人物のみ
(
夜斗の同級生であり、一年生の頃からの友人だ
生徒会メンバーというわけではない
夜斗と雪菜は校内でよく連れ立って歩く姿が目撃されており、煉河もそのようにして見かけたところで声をかけたことから交流が始まったらしい
ちなみに煉河は夜斗の妹、
「大丈夫です、先輩が揉んでくれれば肥大化するはずなので!」
「ソースはどこだ」
「お好み焼き用買ってきます?」
「そうじゃない、その情報の出処を聞いてるんだ」
「よく聞くのは、好きな人に揉まれることで女性ホルモンの分泌が促進されてバストアップになる…って感じですね。もしくは乳腺がほどよく刺激されることで大きくなるとか。ソースは
「あいつまじロクな情報与えないな…」
深雪というのは雪菜の恋敵であり、夜斗の同学年生徒だ
この学校には普通科と工業系学科が存在している
夜斗は工業系電気科で雪菜と深雪は普通科であるため、夜斗と深雪が同じクラスになることはない
「情報だけは感謝していますよ。天津風先輩も、夜斗先輩の情報鬼ほど持ってますし」
「やっぱり売ったのあいつかよ。マジ許さない」
どうやら夜斗の予想通り、雪菜に好みの情報を売ったのは煉河らしい
その才能を他に活かしてほしいと思わないでもないのだが、言っても無駄なためもう諦めている
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