第93話 天使⑰
管理者の天使は悔しそうに顔をしかめた後ニヤリと笑った。
「それならここでお前たちを始末してしまえばよいだけだ!捕らえろ!」
俺たちは遭遇しなかったがどうやら一応警備をしている天使はいるようだ。
管理者の天使がそう呼ぶと数人の武装した天使がテントの中に入ってきて俺たちのことを取り囲む。
「ここは私が対処しよう」
「わかった」
それに対してカルーミが一人で戦うようだ。まぁ、実力的に万が一にも負けることはないだろうし任せても構わない。それにもともとこの町での戦いは俺が始めたものじゃない。しっかりとけじめをつけるためにもここはカルーミが一人で戦いたいのだろう。
テントの中に入ってきた天使たちは少しの間にらみ合った後にカルーミにとびかかる。とはいえここには非戦闘員であろう有力な天使たちや管理者もいる。攻撃範囲が広いような技は使えないだろう。
とびかかってきた天使たちをカルーミは一人一人丁寧にかわすとすれ違いざまに切り付けていく。言っている分にはとても簡単に聞こえるがどれも繊細な足さばきで合ったり剣さばきが必要だ。カルーミの実力が垣間見えるようなカウンターだといえよう。
とはいえ今のカウンターはあくまでも軽く切りつけただけだ。まだ勝負は決まらない。今度はカルーミが切りかかる。
警備の天使たちはそれを剣で受け止めようとするがあまりの威力でガードしたのにもかかわらず吹き飛ばされてしまう。それを見てほかの天使たちは少しおびえたように下がっていく。
「カルーミ、そろそろとどめを刺してもいいんじゃないか?実力差も見せつけただろう?」
「わかった」
カルーミはそういうと一つギアを上げたようだ。目にも止まらない速さで警備の天使に近づくと一人一人一刀両断していく。
天使が一人やられるごとにテントには赤いしみがついていきしまいには入り口付近は真っ赤に染まりあがってしまう。
「ひっ、」
町の管理者である天使は小さく悲鳴を上げるとそのまま気絶して倒れてしまう。
「案外あっけなかったな」
「そうだな。それでここの街はどうするんだ?管理者を変えたと言っていたがそれは一時的なものなんだろう?」
「あぁ、ここの街はシュナイドに任せようかと思っている。俺がいない間にこの町のことを調べていたしシュナイドなら悪くはしないだろう」
「そうか。それなら安心できる」
「お前たちはどうするんだ?首都で何か新しい組織でも作るのか?」
「いや、私たちにはこの国を混乱させてしまった罪がある。それは革命が成功しようと変わらない」
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