第92話 天使⑮

カルーミ達と合流することもできたので町の管理者のところに向かう。


と言ってもやることは町の管理者ではなくなったことを伝えて管理者を変更するだけだ。もし抵抗したら拘束してしまえばいい。簡単な仕事だ。戦闘になったとしてもこっちにはシュナイドもいるしカルーミ達反乱軍もいる。どんなに相手を強く見積もったとしても逃げられることはないだろう。


そうこうしていると町の管理者がいるであろうテントまで来た。そしてここまで歩いてきたのにもかかわらず門番のような天使だったり巡回中の天使なんかとも一度も会わなかった。もしかしたら相手はもう戦える状態ではないのかもしれない。


テントの中に入るとそこには管理者の天使を含めたこの町の有力な天使たちが集まっていた。


「なっ…セラフ、なぜここにいるんだ?」


「今日はお前に伝えることがある。第1階の天使の決定としてお前をこの町の管理者から交代することが決まった」


「は?そんな横暴が許されるわけがない。それにこっちにはクーラ様だっているんだ!」


「クーラはもう死んでいるが?知らなかったのか?」


「…ここ最近管理者側へ何か流れないように完全に道を封鎖していた。それでまだ情報が伝わっていないのかもしれない」


俺がカルーミのほうを見るとカルーミは少し考えてからそう言った。


「そういうことか。そんなに完璧な封鎖をしたのか?」


「いや、そこまで厳しいものじゃない。少なくとも情報ぐらいは流れてもおかしくないはずだ」


「クーラ様が死んでいるなんて嘘だ!」


俺たちが情報が伝わっていないことについて話していると管理者の天使が叫び始める。どうやら本当に情報が伝わっていなかったらしい。もしかしたらこの天使に報告していないだけかもしれない。部下が情報を取捨選択してしまうことがあるのは当然だ。


「クーラが死んでいるのは事実だ。カプトで反乱を起こして討ち取られた」


「反乱?反乱を起こしているのはお前たちだろうが!」


「すでにカプトを含めて多くの都市では今回の反乱は鎮圧されている。そして第1階の天使で話し合った結果このような決定になっただけだ。別に反乱軍に掌握されたわけではない」


「懐柔されているじゃないか!そんなもの掌握されたことに変わりない!」


「これもすべてリーシャ様が作り上げたこの国をできるだけ長く存続させるための手段だ」


「そうだとしてもこの町の管理者は私だ!この町に口出しはさせない!」


「だから町の管理者は交代だと言っているだろう。お前はただの天使だ」

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