第91話 天使⑭

クーラが死亡し、保守的な派閥は力を失った。俺にはまだエーメに帰るという仕事があるがほかの都市に派遣されている天使たちもそろそろ帰ってくるだろう。これからは新しい時代になっていく。そしてその仕事を片付けたとしてもそこからが始まりだ。俺たちはあくまで今スタートラインに立ったということだけだ。すべてはここから始まる。


そのためにもとにかくエーメのことを片付けてしまおう。


エーメまでの移動の間いくつかの街によったがどこも革命の話でもちきりだった。市民の反応としてはおおむね好評だが保守層は躍起になって革命を阻止しようと演説をしているようだ。


まぁ、クーラが死んだ今、保守の権力を持った天使はいなくなった。おそらく自然に鎮火していくだろう。


エーメについてみると戦闘は起きていないようだった。市民に聞いたところだと小さな小競り合い程度のものはあったらしいが市民が巻き込まれるようなレベルのものはなかったらしい。


「セラフ、どうだった?」


時計台に向かうとカルーミと合流することができた。


「首都ではおおむね革命が受け入れられている。おそらくだがこのまま進んでいくだろうな」


「そうか。それならとりあえずここを片付けていかないとな」


「そうだな。それでシュナイドはどこだ?」


「シュナイドなら時計台の中にいるはずだ。ほら出てきた」


シュナイドは何かの資料を抱えながら走って出てきた。


「何を持っているんだ?」


「この町の資料です。どうやらこの町には地下網が敷いてあるらしくてそれを調べていました」


「なるほど。それは興味深いな」


「はい。もしかしたら何かにつかえるかもしれないと思いまして」


「これからは情勢が不安定になるだろう。その時の戦闘でも使えそうだ」


「そうですね。それに戦闘以外でもちゃんと整備さえすれば下水道としても使えそうですし」


どうやらシュナイドはすでにこの町をどうやって使っていくかということを考えているみたいだ。この戦いが終わって落ち着いたらこの町の管理者をシュナイドにするのもいいかもしれない。


これからはそういうのも投票などで決めることになるとは思うがシュナイドなら普通に選挙をしたとしても当選するだろう。今までの功績というとあまりないかもしれないが普通に優秀できちんと市民の目線で政治をする良い為政者と言えるだろう。


「それで結局ここの管理者を変えることはできたのか?」


「あぁ、それに関しては問題ない。事後承認にはなるがかならず受け入れられるだろう」

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