第46話 一方そのころほかの天使は③
「カミルの行動をこれから注視してくれ」
「了解です」
そういうとリッテラは外出の準備を始めた。
「どこかに行かれるのですか?」
「あぁ、グラキエースの様子を見てくる」
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そのころクーラは王宮にてリーシャ様に相談をしていた。
「リーシャ様、今回の件は即急に解決するべき課題です。どうか私に任せていただけませんか?」
「なぜ、クーラに任せる必要があるのですか?7人全員で探っていったほうが早いように思えますが」
「その7人の中に裏切り者がいる可能性があります。そのようなものに調査を指せるというのは危険があります」
「それはあなたも同じでしょう?なぜ自分は潔白だと言い切るのですか?」
「…リーシャ様は私を疑っているというのですか?」
「そういうことではありませんよ。ただなぜそこまで必死に自分だけで調査をしたがっているのか不思議に思っただけです」
クーラというのは第1階の天使でもセラフに次いで信仰心の高い天使である。そんな天使がリーシャ様に反抗しているのである。
異常事態と言って差し支えないだろう。
それに今のクーラはとても焦っている。
いつものクーラというのは落ち着いて一つずつ着実にこなしていくようなタイプである。いくら仲間に裏切り者がいるといってこんな状態になるとは思えない。
「確かに焦りすぎていたのかもしれません。ただ危険なことは事実です。ですから、信頼できるセラフに今回のことを主体となって調査させればどうでしょう」
「確かにそれはありかもしれませんね。ただ、一人に調査を任せるのは得策ではありません。さらに天使内での分断を生むだけでしょう」
「それでは…今まで通り第1階の天使に自由に調査をさせるということですか」
「そうですね。そんなに焦らなくても大丈夫です。運命とはすでに決まっているもの。なるようになるだけです」
クーラはリーシャ様を信仰していたがこの楽観的な姿勢だけは前からあまり好きではなかった。
クーラとしては自分の考えをわかっているのにそれを実行しようとしないリーシャが理解できなかった。
クーラには天使の中で一番賢く先のことを考えて行動しているという自負があった。
もちろん、未来を見るスキルのあるフトゥームには未来を見るということに関してはかなわなないが、それをどうやって生かすかという点においてはクーラが一番だという自信がある。
そんな自分の考えを一考もしないリーシャに対していらだちがあるのは間違いない。
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