第44話 一方そのころほかの天使は①

時間は少し戻ってセラフがカルタイと第2騎士団駐屯地へ向かっていたころ、フトゥームとレースは行動を起こしていた。


「おっ…お姉ちゃん!やっぱりみんなを呼んだほうがいいんじゃないかな」


「今はまだ誰が裏切り者かわからない。むやみに声を掛けたら逆に私たちが危なくなる」


「でっ…でも例えばセラフとかとなら大丈夫なんじゃ…」


「セラフはカミルとかと仲がいい。もしかしたらカミルに話すかもしれない」


フトゥームとレースがいるのは首都カプトから離れた寒冷地帯。そこには天使たちの 食料などが管理されている倉庫があった。


「私の未来視が正しければ裏切り者はここに来るはず。そしてレースの作戦は完璧。それならほかの天使がいなくても大丈夫」


「わっ…わかった」


2人の行動はこんな感じだ。


まず例の会議が終わると2人は家にこもり、フトゥームは未来を見ようと、レースは様々な場合の作戦を考えた。そしてフトゥームが見た未来をもとにここグラキエースにて裏切り者を討とうとしていた。


もちろん、ほかの天使には情報を伝えておらずここにいるのは倉庫の管理をしている部隊と2人だけである。


その時、視界の端に雪が舞い上がっているのが見えた。


「レース!」


「わっ…わかった。スキル『戦いの合図』!」


レースのスキル『戦いの合図は』現在の状況をもとに作戦をその場で一瞬で建てることのできるものだ。ゆえに偽の情報があるかもしれない戦いの場では使いにくいものである。


ただ実戦経験の少ない2人にはこれがわかっていなかった。


「おっ…お姉ちゃん、倉庫の守備隊と合流して雪が舞い上がっている前に防衛線を築いて!」


「わかった!」


そう言いフトゥームはレースを置いて守備隊がいるはずの倉庫へ向かった。


1人残ったレースには仕事はあまりない。もちろん戦況に何かあった伝えなければならないがもしそんなことがあってもレース一人では伝える手段がない。


本来ならもう一人レースの隣に配置して伝令係をやるべきだが、今回は極秘のミッションである。第1階になって間もない、2人にはそんなことを頼めるような信頼できる天使はいない。


「何しようかなー」


レースは今回暇をすると思っていたが周りには王都では見ることができない雪が周りにはたくさんある。暇することはないだろう。


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レースが夢中になって遊んでいるころフトゥームは倉庫の守備隊を探していた。


「クソ、なんで倉庫の守備隊がいないんだよ!」


フトゥームが倉庫に向かうとそこには大量の食量しかなく、守備隊の姿はどこにもなかった。

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