第42話 下手

「何か物騒な気配がすると思ったらあなたでしたか」


後ろからあの時の騎士がいた。


ほんとこの人何もないところから霧みたいに出てくるよね。気配も感じないしどんな原理なんだろう。


「団長!ここは危険です。どうかお下がりください」


「あなたたちが対応を間違ったからこうなったのでは?」


「そっ…それは」


「もう大丈夫です。駐屯地に戻って反省しなさい」


というと騎士は手をたたいた。


するとまた門番をしていた兵士たちは消えた。


ガチでどういう原理なんだろう。たぶん魔法だとは思うんだけど原理はわからない。天使にも魔法が使えたらわかるような気がするのにもったいない。


「私のところの騎士が申し訳ありませんね。それで今日はどのような話で?」


「悪魔襲撃事件についての調査だ」


「なるほど。つまり私たちがかかわっていると疑っているのですね」


「あぁ、そういうことだ」


「それなら中に入れて無罪を証明しましょう。それと今度からは来るときは事前に連絡をお願いしたいですね」


「それなら考えておく」


「そういえばこの方は?」


と言って騎士はカルタイのことを聞いてくる。


物腰はとても柔らかだけど、口調からはこっちのことを探っているような感じがする。それに強者の風格というものを持っている。ここまでは順調に来ているけど気を付けないといけないかも。


「こいつはうちの副官のカルタイ」


「なるほど。副官でしたか」


そういう騎士は少し口角が上がって見えた。


=====================================


そして俺たちは駐屯地内にある応接間に案内された。


「何も出せなくてすいませんね。ちょうど訓練をしているもんですから」


「そんなことは大丈夫。それよりも早く本題に行こう」


「そうですね。それなら単刀直入に聞きます。悪魔の手引きをしたのはあなたたちですか?」


「はっはっは、ここまで直接聞いてくるなんて面白い。あなたたちのことが気に入りましたよ」


「それで答えはなんなんですか?」


「そうですね~。どういう回答が望みですか?私がやりました、ですか?それとも、私はやってません、というほうがよろしいですか?」


「…まじめに回答しろ。こっちが下手に出てやってるんだぞ」


「…ふふ。これでもですか?」


そういうといきなり部屋の空気が重くなった。


俺はまだ大丈夫だけど、となりのカルタイはだいぶ苦しそうにしてる。


これはプレッシャーだな。この騎士が実力を開放したってところ。


「ちょっとこれこれ止めて?カルタイがつらそう」


「さすがですね。私の全力のプレッシャーなんですがね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る