第40話 ついに完成体

「そもそも天使軍の強さは一人一人の強さではなく無限の軍隊だったはず。それがなくなったとなるという攻められるようなことがあってもおかしくないですね」


「そういうこと。だから今回の悪魔襲撃事件は本命じゃなくて陽動だったと思う」


「なるほど。…ルーナ、ほかになんかわかったことはないのか?」


「ほかに?んーー、御業の玉っていうのが盗まれたのはたぶん、悪魔の襲撃があってからだと思うよ」


「なぜ?」


「だって、あっちに情報を取りに行った時の騒ぎ方がさっき取られたみたいな感じだったし、それに悪魔襲撃は解決してから混乱したでしょ?」


「あぁ、確かに情報が回ったのはもっと後のことだと思う」


「そういうことですか。それなら盗まれたのは悪魔の襲撃があってからということ。そしておそらく第1階の天使が集まっている間…」


ルーナから情報をもらうとカルタイは何かをぶつぶつ言いながら考え込んでしまった。


確かに作戦参謀と言われると作戦参謀に見えないこともないけどさすがに自分の世界に入りすぎじゃない?


「セラフ様、今回は大事になるはずです。ほかの天使も呼ばなくてよろしいのですか?」


「確かに。それなら幹部クラスの天使だけ呼んでおこうかな」


「スキル『神の威厳』を発動!」


ちなみにこのスキルは別にその天使の名前を知ってなくても呼び出せる。


俺の部下の幹部クラスって感じで念じればそれに該当した天使が出てくることになってる。このスキル便利すぎてヤバい。なんでもこれでいいじゃん。


スキルで呼び出されたのは7人の天使。どうやら俺の部下の幹部クラスっていうと今呼び出された7人とファーナー、ルーナ、カルタイの3人を合わせた10人が当てはまるらしい。


「「「「「「「セラフ様、お呼びでしょうか」」」」」」」」


すごい。7人が一気に俺の名前を呼んでひざまずいている光景の圧が強すぎる。なんか戦国時代の武将に転生した気分になる。


「えーーと、これからたぶん結構大きめの事が起きるから、備えておいて」


「「「「「「「はっ」」」」」」」


「カルタイは作戦もうできた感じ?」


「はい。完了しています」


「それじゃ、各々に指示を与えておいて」


「了解です」


カルタイは仕事ができるタイプだな。しかも仕事をすることに喜びを感じているタイプ。ファーナーと比べると劣るけど結構こいつも狂信的な感じがする。


とはいえ仕事は自分がすべてこなすものじゃなくて自分がいなくなっても成り立たせるのが正解だし、今度ちゃんと後輩の育成をしてるのか聞いておこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る