第34話 お互いに監視
「それは…あいつの嘘じゃないのか?実際あいつは今反旗を翻す可能性があるんだろ?」
「それはそうだが、
「確かにそうですね。でもカミルは実際にどの階級に裏切り者がいると思っているんですか?」
「もちろん、第2階や第3階にもいるとは思うが、おそらく第1階にもいるだろう」
そこでまたバーが静かになった。
「…なぜそう思うんすか?」
「この階級の者がいないとあそこまで大きく動くことはできない」
「でっ…でもそれならこの会議を聞いているものの中に犯人がいるってことになりませんか?」
「確かにそうだ。実際、今この7人の未来を見ようとしたら見えなくなってきている」
「それならまずは誰が怪しいかってことになるよな」
そこでまたまた沈黙が訪れる。
確かにここでいきなり話し出したら疑われることになりそう。俺もしゃべらないでおこう。
「まぁ、まずはセラフは除外してもいいと思う。なにせ記憶を失っている。さすがにいきなりこんなことはできない」
「そうですね。確かにセラフは除外してもいいかもしれません」
「記憶が失ったってことを証明することはできるのか?そうじゃないのならセラフも除外するべきではない」
そう話しだしたのはリッテラ。
普段はしゃべらないから意外としっかりとした物言いに驚いた。なんか探偵みたい。そしてなんで俺を疑うの?なんもやましいことなんてしてないよ。
「それは証明されていると思いますよ。少なくともリーシャ様のそばにいたのに行動をしてないってことはリーシャ様を攻撃する意思はないってことです」
「確かにそうだな。それならセラフは白か」
「お前の能力で犯人を見つけることはできないのか?」
「それはさすがに厳しい。俺の能力は文字を具現化することだ。こんなピンポイントに使うものではない」
なんかリッテラが難しいことを言い始めた。文字を具現化するってどういうことなんだろう。書いてあることを実現するってことなら嘘を見つけるのとかもできそうだけど。
「しかしこのまま裏切り者を野放しにすることもできません。そこでどうでしょう。皆さんお互いのことを監視しあいませんか?」
これまたすごいことを言い出した。お互いに監視させあうなんてつまりそれはお互いのことを信じさせないようにするってことでしょう?それって逆効果なような気がするけど。
「クーラ、それって本当に意味があるのかな?こんな時にお互い不信感を持たせるのはあんまりいい手じゃないと思うんだけど?」
「さすがですね、セラフ。これは皆さんに鎌をかけただけです。本気でそんなことをしあうわけないじゃありませんか。それに本当にここに裏切り者がいるのかどうかわかりませんし」
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