第33話 緊急会議

俺がバーにつくとそこにはすでにほかの天使が集まっていた。


「カミル、悪魔による襲撃ってのは本当なのか?悪魔はすでに滅ぼされているはずだが」


「だが実際に悪魔が町を襲撃してきた。一応捕虜も一人捕らえてるぞ」


ちなみに捕虜はさすがに会議の場に連れていくことができないから、バーの店員みたいな天使にあずかってもらっている。どうせ普通の店員じゃなくてそういう部隊の天使だと思うけどね。


「とにかく情報を整理しましょう。リーシャ様への報告はすでに私のほうからやっています」


「未来が前よりも見通せなくなってきている。なにか大きな混乱がこれから起こるぞ」


「そっ…それならこの悪魔は誰かに命じられているということですか?」


「その可能性が高いだろう。そもそもあの人数だけでここに攻め込むのは無謀すぎる。陽動の可能性だってある」


「確かにそうですね。それでは私のほうから何か普段から変わっているところがないか調べてみます」


「えーーと、悪魔に尋問でもして情報を聞き出しちゃダメなの?」


そのために捕虜として悪魔をとらえたんだからあいつから聞けばいいと思うんだけど?なんでみんなその選択肢を最初っから外してるの?


「尋問をすればあれは死んでしまうでしょう」


「どうして?」


「手首に死の紋章が入っていました。おそらくですがあれはあれから情報が洩れそうになったら対象者を殺すスキルだと思います」


「そんなのあるんだ!?何で知ってるの?」


「…あれはかつて敵対していた邪神のスキルの紋章にそっくりだからです。あそこまで酷似していると同じスキルなんじゃないかと疑いたくなってしまいます」


「なるほど。そういえばそんなこともあったらしいね」


すごいな。見てもないのにクーラは手に紋章が入っていることを言い当てた。確かにあいつの手にはなんかそんな感じの変なタトゥーみたいなのがあった気がする。


「しかし、今のままでは情報が少なすぎます。もう少し情報が集まってからこれからの方向性を決めましょう。カミル、ほかに何か情報はありますか?」


「あぁ、最後戦争の騎士ベルルムパラディンのやつと会ったんだが気になることを言っていた」


戦争の騎士ベルルムパラディンか?なんであいつがそこにいるんだ?」


「悪魔が出た一帯が第2騎士団の管轄下だからだったからだな」


「なんかきな臭いな」


「とりあえず話を進めるぞ。あいつは高階位の天使の中に裏切り者がいるといった」


カミルがそれをみんなに伝えるとバーが静かになった。聞こえるのは換気扇が回ってる音ぐらい。確かに天使に裏切り者がいるっているのはショックかもしれない。


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