第29話 隠し味
カミルに案内されるがままにそのまま駐屯地の中に入るとそこは意外にも静かだった。
なんかもっと掛け声とかそういうのが聞こえてくるのかと思ったんだけどなー。
「こっちだ」
カミルに案内されているとだんだんとカレーのスパイスの香りが強くなってくる。においだけで言うのならお店で食べるようなやつと変わらないぐらいのクオリティーがあるような感じがする。
「カレーでいいんだよな」
「うん。てかそれを食べるためにここに来たんでしょ」
「そうだな」
カミルはそういうと俺を席に座らせてカレーを取りに行く。
それにしても結構混んでる。時間が昼時っていうこともあるんだろうけど結構広いラウンジがほぼ満席になるぐらいはいる。
俺たちはカミルの個室みたいなところで食べることになってるからせきとりには苦労しなかったけど普通に食べようと思ったら大変そう。
もしこれから一人で来ることがあったとしてもちょっと時間はずらすことにしよう。
「取ってきたぞ」
帰ってきたカミルには2つのカレーが乗っているトレーを持っていた。
見た感じだとナン的なものにつけて食べるっぽい。そしてにおいとか見た目は完璧。実に食欲を誘ってくるような感じ。
そしてなんといっても量がヤバい。
なんかそもそもの器がでかいのにそこにたっぷりカレーがあってこれまた自分の腕ぐらいあるナンがついてる。
正直食べきれる自信ないぞ?
「どうだ、これが第1天使団の名物のカレーだ!」
「いや、めっちゃおいしそうなんだけど。なんか量多すぎない?」
「まぁ、ここは軍の駐屯地だからな。質よりも量って考え方が根付いてんだよ。まぁこのカレーは質もいいがな」
「早速食べていい?」
「あぁ、おかわりもあるからな。たくさん食べろ」
なんかカミルが言ってるけどそれは無視をしてカレーを食べ始める。
まぁ、まずはルーだけでいってみようかな。ちゃんとスプーンもついてるしね。
スプーンでカレーを掬って口に運ぶ。
ん?これは…うまい!
なんか俺が食べたことがあるかレーとはスパイスが違うような感じがするけどこれはうまい。辛味なんかもちょうどいい。
「カミル、うまいよ!これ」
「そうか、気に入ってもらって何よりだ。」
「この肉は何?柔らくておいしいんだけど」
「あぁ、それは鳩だ」
思わず吹き出しそうになる。鳩?それって食べるものだっけ?少なくとも俺の中でカレーに入れる文化はなかった。
「鳩って食べれるの?」
「一般的にはカレーに入れることはないが普通に食べることはあるぞ?」
めっちゃ驚いてる俺に不審な目を向けてくるカミル。
いや、これは不可抗力でしょ。カレーに鳩を入れるのは前代未聞すぎる。
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