第25話 俺の家はどこ?
「あのさ、この町って本当に住んでる天使いるの?見てるだけだとまったく生活感を感じないというかそもそも天使を見ないんだけど」
「それはこの町の天使がだいたい働いている時間だからだな。この時間帯だと見かけることはないがもう少し時間が遅くなると普通にいるぞ」
そういうことか。確かに天使に子供とか概念は存在しないから働いてるっていうのも納得できる。
「そろそろ時間も遅くなってきたからそろそろ帰るか?」
「そうだね」
実際、だんだんと空が暗くなってくてるからいい時間だと思う。それに今日だけで町の半分ぐらいは見ることができたんじゃないかな?
「それじゃ、帰るか」
いやー本当に疲れた。慣れてない環境だってのもあったかもしれないけどすごく一日が長く感じた。さぁ家に帰ろう!
…ん?家?俺って自分の家あるのかな?リーシャ様からもらった知識の中にはないけど。
俺がおどおどしているとカミルが何か不審なものを見るような感じでこっちを見てくる。
「どうした?」
「えーーと、俺の家ってどこにあるの?」
「あーー、確かにお前記憶なくしてるんだったな。お前の家は俺の家の近くだから送っていってやるよ」
いやー、助かった。このまま家がわかんなくて野宿とか結構つらい。キャンプとかもやってきてないような俺には多分無理。
「だが、自分の家がどこにあるかってのも忘れてるのにどうやってここに戻ってきたんだ?」
「え?」
「だって、そんな基本的なことも忘れているようだったらカプトに帰ってくることもできなかっただろ?てか、そもそもどうして記憶を失ったんだ?」
いや、そういうこと言われても困る。正直このセラフが今までどんな感じだったかとか全く記憶にないし、なんなら俺がそれを知りたい。
「わからない。その記憶まですっぽり抜けてるから」
「そうか。まぁいつか分かるときがくる」
そこでカミルとの会話は途切れた。
そのあとカミルに家まで送ってもらって別れる。
はぁ疲れた。今すぐにでも寝たい気分だけど、ちょっと記憶を整理してからにする。
せっかく転生できたんだし、日記でもつけてみようかな。あっちだとそんなことする時間なかったしそもそも家に帰ることだってあんまりなかった。
こうやって考えていると意外とあっちの世界が懐かしく思えたりする。過ごしてる日々は本当に最低だったけど思い出がないわけじゃないし、両親だってあっちにいる。…まぁ、彼女なんてものはもちろんいなかったし大切な人っていうとそのぐらいしかいないけど。
でも、これも俺が選んだことなんだし一応責任をもってこっちで生活していきたいと思う。一回逃げた俺がまた逃げるなんて許されることじゃない。
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