第20話 第1階の天使たち
天使として正式に新たな人生を歩み始めた俺の一番最初の仕事はほかの第1階の天使との顔合わせだった。
確かに同僚との関係はめちゃくちゃ重要だと思う。…まぁ、前世だと同僚のこととか気にすることができないぐらいブラックな仕事だったから予想だけど。
「セラフ!久しぶりだな」
「カミルじゃん!あれからもう3か月もたったってことかー。早いなー」
「俺はめちゃくちゃ長く感じたけどな」
「俺のことが待ち遠しかったってことでOK?」
「んなわけないだろ。仕事だよ仕事」
「そういえば今日の顔合わせってどんなことやるの?」
「まぁ、顔合わせっていう名の会議だからなー。たぶんほかの天使の報告を聞いたりするんじゃないか?」
「マジか…俺そういうの苦手なんだけど」
「大丈夫だ。これからはそれができないと仕事にならない」
「それって大丈夫じゃなくない!?」
そんな冗談をカミルと言い合う。
なんかすごい懐かしいし心が温まるような感じがする。別にリーシャのもとにいたのが嫌だったんじゃなくてこんな感じで友人と仲良く談笑するっていうこと自体が高校生ぶりだからね。
俺が感傷に浸っているとカミルが建物に入っていった。
俺も置いて行かれないように慌ててカミルを追いかけて建物に入る。
その建物はこの街だとよく見る生活感のない役所のような外観だったが中に入ってみると全然違った。
…俺の目が腐ってなければこれはバーだ。それも典型的な。
「おーい、おいていくぞ」
カミルに話しかけて我に返る。
あれ?この街って生活感がなかったはずじゃ?なんか俺の中でこの街へのイメージが崩れ落ちていく音が聞こえる。
まさか天使の会議って酒を飲みながらやるとかある?
「なんか変なことを考えてそうだが、天使の会議はちゃんとまじめなものだぞ」
ビクッ!?なんで俺の考えてることが分かったの!?もしかしてそういう能力でも持ってる!?
「ここだ」
どうやら目的地に着いたようだ。さっきはバリバリのバーだったのにここは密会してそうだなーって感じの場所。
確かにバーとかでも密会しているような描写ってよく見るけど個々の雰囲気はどっちかというと悪役が密会しているような感じのところ。
「ようこそ、大天使会議へ」
そういうとカミルはにこやかな笑みを浮かべた。
その部屋の中に入るとそこには5人の天使がいた。
多分この天使たちも第1階に所属している天使なんだろう。…全く名前もわからないし初めましてと言っても過言じゃないと思うけど。
「久しぶりですね。あなたの席はあそこですよ」
俺の席を示してくれたのは優しそうな感じの女性の天使。天使の服装は大体白い布みたいなものだから服じゃ見分けがつかないんだよな。
そして俺の椅子はなぜが上座にある。…おかしいな。俺としてはオフザーバー的なノリでここに来たんだけど。
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