第15話 神殿でやらかしました
中は俺がこの世界に初めて見た光景にとても似ていた。あの大理石でできた像はないけど建物自体は大理石でできている。
「こちらです」
中は門番とは違う天使が案内してくれるようだ。
そういえばカミルが静かになってる。さすがに神殿の中で騒ぐなんてことはしないらしい。
「エクレーシア、この建物って神殿なのにこんなに広いの?」
ちゃんと神殿の雰囲気に合わせて小声で尋ねる。
「廊下を見て思ったのですか?あれは魔法でそう見えているだけなので本当はそんなに広くありませんよ」
そういうことだったのか。建物に入った時に廊下が果てしなく続いているように見えたけどあれはさすがに魔法だったんだ。
そんなことを考えながら歩いていると案内役の天使が扉の前で止まった。
その扉は今まであった扉の中でも一番大きくて頑丈そうなものだった。
そしていきなりひざまずく案内役の天使。いきなりどうしたの!?でもカミルとかエクレーシアが驚いてないからこれが普通なんだとは思うけどいきなりすぎてびっくりした。
「エクレーシア様、カミル様、セラフ様がご参上なさいました!」
そして重そうな扉が音もたてずに開いた。
中は俺が転生してきた部屋にそっくりだった。ちゃんと大理石でできた像もあるし逆にほかには何にもないっていうのもそっくり。でも若干こっちの部屋のほうが広いような気がするし違う部屋だと思う。
「お久しぶりですね。セラフ。それにカミルとエクレーシアもお疲れ様です」
俺たちがひざまずくなんてことはないけどちゃんと立場の違いっていうのを感じる。
てか部屋の中にほかの天使もいるんだけど誰なんだろう。こういうところにいるんだから記憶があったらわかるとは思うんだけどなにせ記憶がないからわからない。
「任務を完遂しました」
リーシャがこっちに話しかけてから不自然に間が空いて気まずくなったところでカミルが返事をする。
どうやらこれは俺が言わないといけないやつだったみたい。
「わかりました。セラフもお疲れ様です」
「はい」
ここでまた気まずい沈黙。でも一般人だった俺にそんな気の利く応対をするなんていう芸当はできない。これはしょうがないはず。
「どうやら疲れているようですね。報告は後で聞きましょう。下がっていいですよ」
「「御意」」
「わかりました」
…ミスったーー!ここまでちょっとは不自然だったかもしれないけど最後の最後に致命傷だよ。ほかの天使もざわざわしてるしマジでヤバいことやったみたいなんだけど。
「…セラフは後で来てください」
まさかの呼び出し!後で来てくださいなんて聞いたの小学校ぶりだよ!?まさか大人になって個別で呼び出されるなんてことがあるとは思わなかった…
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